ライトノベル海外翻訳事情 韓国編(3)

今回は補追編みたいなもので簡単に済ませます。

5月の研究会にいらっしゃった、韓国のジョンが見せてくれたのが「文庫本サイズの『スレイヤーズ』」でした。

韓国で最初に出たスレイヤーズ
正確に言うと文庫本サイズよりやや大きいのですが、大元C.I.社は、1997年頃にはこのサイズ(11cm×16cm)でライトノベルを出し、途中で切り替えて今のサイズ(12cm×18cm)に切り替えたとのことでした。文庫本サイズが受けなかったということのようです。ライトノベルが文庫本サイズで発売されているのはドイツくらいで他にはありません。アメリカのSevenSeasは『死神のバラッド』を文庫本サイズで一度出しましたが、後が続いていません。考えてみると、日本で流通する文庫本の起源は岩波文庫ですし、その岩波が手本にしたのはドイツのレクラム文庫です。読者が文庫本のサイズに既に親しんでいて、流通業者も扱い慣れているからドイツでは、文庫本サイズのまま翻訳出版されたのでしょうし、そうで無い国では文庫本サイズでは定着できなかったということなのでしょう。その国が作り上げてきた、固有の出版文化というのは案外に強固なのです。

(報告:太田)

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