【訪問レポート】角川武蔵野ミュージアムのマンガ・ラノベ図書館に行ってみました(山中智省)

2020年11月6日(金)にグランドオープンを迎えたところざわサクラタウン。その目玉施設の一つである角川武蔵野ミュージアムには、「KADOKAWAグループのほぼすべてのライトノベルが揃っている、日本で一番ラノベが読める図書館」(公式HPより)を謳ったマンガ・ラノベ図書館が併設されています。オープン前から話題になっていたこの図書館ですが、果たして、実際はどのようなものになっているのか……。どうしても内部が気になってしまい、いてもたってもいられず、11月9日(月)の午後、強引に時間を作って訪問してみました(笑)。以下、私が初訪問してみて個人的に気づいたことや感じたことを、備忘録として記したいと思います。

角川武蔵野ミュージアム

マンガ・ラノベ図書館は角川武蔵野ミュージアムの1階にあります。図書館への入館には事前か、あるいは当日にチケットを購入する必要がありますが、入館が可能なのは「マンガ・ラノベ図書館」(一般:600円/中高生:300円/小学生200円)と「KCM 1DAY パスポート」(一般:3000 or 4000円)の2種のみになります。チケットは券種が色々とあるので要注意です。

ちなみに「マンガ・ラノベ図書館」(一般:600円/中高生:300円/小学生200円)の場合、現時点では入館時間を含めて3時間まで滞在でき、3時間以内であれば再入場も可能とのこと。おそらくはここで、「え?3時間もいられるの!?」という方と、「え?たった3時間だけ!?」という方で、賛否が分かれそうですね。

さて、いざチケットを片手にマンガ・ラノベ図書館に入館すると、スタッフの方からまず、「棚から手に取った本はブックカートに返却してください」との案内がありました。館内の書棚に並ぶマンガやラノベは、各自が好きな本を自由に手に取り、好きな席やスペースで読むことができます。しかし返却時には、本を直接棚に戻さないよう注意が必要ですね。この措置は、一般や大学の図書館でも行方不明図書防止のため、やっているところがあったと思います。あとは、カウンターの後ろの方にある機械は本の除菌機?ですかね。だとすると、新型コロナの感染防止策の一環として、本の除菌処置も返却時に行っているのかもしれません。

マンガ・ラノベ図書館のエントランス付近のカウンター

館内は1階と2階のフロアに分かれており、1階のエントランス付近にはカウンターのほか、新刊コーナーや黒板アートが並んでいます。

新刊コーナー
黒板アート

さらに1階フロアには「連想検索コーナー」と題して、コンピュータと編集者の力を駆使して実現した選書の配架棚があります。様々なテーマにそって作品が並べられており、その分類状況も興味深いところですね。

連想検索コーナーに関する説明
連想検索コーナーの全景

このほかにも1階フロアには、意外にも、子ども向けの児童書や絵本のコーナーがありました。マンガ・ラノベ図書館という名前からは分かりませんでしたが、子どもやその親が一緒に楽しめる蔵書の用意と、専用コーナーの設置も行われていたのですね。マンガ・ラノベを前面に押し出してるぶん、この点のPRはあんまりされていなかったような……。

角川つばさ文庫
学習マンガ
電子絵本

続いて2階のフロアですが、角川歴彦「ライトノベル宣言」を横目に見つつ階段を上っていくと、著者名順に並んだラノベやマンガがずらり。私が見た限りおそらくはラノベの方が、蔵書数はマンガよりも圧倒的に多いのではないかと思います。

角川歴彦「ライトノベル宣言」
2階フロアに上がってすぐの書棚
1階フロアとの吹き抜け付近の書棚

館内全体のスペースこそあまり広くはないですが、「KADOKAWAグループのほぼすべてのライトノベルが揃っている、日本で一番ラノベが読める図書館」というだけあり、これだけの数のラノベが一堂に会する光景は実に壮観でしたね。うん、ずっとここにいたい(笑)。しかし先にも述べたように、「マンガ・ラノベ図書館」チケットでは最大3時間までしか滞在できません(1DAYパスなら大丈夫なのでしょうか……?)。ですので、シリーズをじっくり読破したい!!という方には、この制限時間が問題になってきそうですね。

そして、この図書館を訪れるメリットを自分なりに考えてみたのですが、少なくとも私のような研究&蒐集志向の人間ですと……、

① ラノベの蔵書の多くが(おそらくは)初版・帯付本のため、刊行当時、書店で実際に販売されていた状態のままの姿を、現物で直接確認できる。

② 絶版本も蔵書に含まれているため、中古価格高騰により入手が難しい、あるいは、他の図書館には蔵書がないものでも、現物を確認できる可能性が高い。

という感じでしょうか。

②については、今回の訪問ではどの程度、絶版本が館内蔵書に含まれているのかまでは確認できなかったので、ひとまず「可能性が高い」としておきました。公式が「KADOKAWAグループのほぼすべてのライトノベル」という言い方をしている以上、おそらくは、蔵書がないものもあるのだろうなと……。ちなみに、蔵書はビニール製のブックカバーで保護されているため、本体カバーや帯の破損・汚損はひとまず避けられそうでした。

となると、書影の撮影や複写・貸出の可否が気になるところなのですが、スタッフの方に直接うかがってみたところ、少なくとも書影の撮影は先のルールの範疇でOKとのことです。一方で、複写サービスは現在未定、貸出についてはおそらく行う予定がないとのことでした。個人的に、書影の撮影OKなのは大変ありがたいですね。ただ、今回は初訪問だったのでそこまではしませんでした。やり始めると完全に調査になるので(汗)。

角川武蔵野ミュージアムのエントランスに設置されたプレート

スタートを切ったばかりのマンガ・ラノベ図書館ですので、現時点では、その可能性は未知数な部分が多いかと思われます。とはいえ、このような施設が実際にでき、そこにこれだけの数のラノベが揃って配架・開架されているというのは、本当に興味深くワクワクしますね。ぜひともKADOKAWAには、今後の有効活用のすべを模索して頂きつつ、私もその使い方を色々と、考えられればと思います。とりあえずマンガ・ラノベ図書館については、取り急ぎ年間パスポートの創設を願いたいですね(笑)。

ご興味のある方はぜひ、現地に赴いてみてください。

<備考>
マンガ・ラノベ図書館を含む角川武蔵野ミュージアム館内の撮影は、「撮影禁止エリアを除いて可能です。動画での撮影は禁止です。 また、フラッシュ、自撮り棒、三脚のご使用はご遠慮ください。」(公式HP「よくある質問」の「撮影について」より)とのことです。また、撮影した写真の掲載については、「禁止エリア外で撮影された写真は、営利目的を除いた場合にのみ掲載可能です。 ご利用にあたっては利用者の責任においてご利用ください。 また、写真の利用に際し、当館では一切の責任を負いません。」(同前)とのこと。本ブログに掲載している写真はこのルールに則って撮影・掲載していますので、あらかじめご承知おきください。

【文責:山中】

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