アメリカでライトノベルが売られている現場

アメリカのオレゴン州ポートランドの本屋さんでライトノベルがどのように売られているのかを調査してみました。ポートランドにはたまたま滞在していただけなんですが、ポウエルズ・ブックストアというかなり大きな本屋があります。この本屋は、古本も新本もサイズもまちまちな本も全て著者別にまとめてアルファベット順で棚に並べるという点でもかなりユニークです。

ポウエル ブックストア

ポウエル ブックストア

それはともかく、中に入って探してみると当然のことながら「Light Novel」なんてジャンルの棚はありません。そのうちに「Manga」と「Graphic Novels」の棚が並んでいるところにたどり着きました。Graphic Novelは我々の想像するアメリカのコミックだと思っていればおおよそ合っている筈です。棚の量を比べてみると、MangaはGraphic Novelsの1/4ぐらいでしょうか。Mangaを多いとみるか少ないと見るか、、、
グラフィックノベルの棚
このMangaのコーナーでライトノベルを探してみると、、、ありました!『ソードアート・オンライン』(Yen Press)のライトノベルとマンガ版が並んで売られていました。
ソードアートオンライン
『狼と香辛料』(Yen Press)も売られています。最初に発売されたとき、アニメ絵の表紙をカバーで覆ってヤングアダルト小説風に仕立てて売られた過去が無かったかのように、カバー抜きで売られていました。
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この他『トリニティ・ブラッド』(Tokyo Pop)の古本も発見することができました。それからライトノベルではありませんが、『おおかみこども』も頑張っていました。
おおかみこども
さて、棚をみているうちに『ハルヒ』が無いことに気がつきました。「もしや」と思って少し離れたところにあるヤングアダルトのコーナーへ行ってみると、やはり5冊ばかりありました。写真はそこから『涼宮ハルヒの驚愕』を引っ張り出してみせたもの。
ハルヒ
なぜ、『ハルヒ』だけがヤングアダルトなのか?おそらくは、ハルヒがYenPressとLittle Brownとの共同刊行であったからでしょう。Little Brownはなんたって児童書とヤングアダルトの老舗なのです。せっかくなので、ヤングアダルトの棚をみているとこんな表紙が目に飛び込んできました。
Spirits princes
「Spirit’s Princess(魂のプリンセス)」というタイトルなのですが、、、Princesses of Mythというシリーズのひとつ。この和風テイストというかアニメテイストは何だろうと思ってみてみると卑弥呼の時代の日本が舞台!きちんと読んでいませんが、「勘違いジャパニズム」に陥っていないことを祈るのみです。それはともかく、以前、アメリカのライトノベル翻訳事情を考察した際に、アメリカでライトノベル翻訳がマンガ翻訳ほどに受け入れられなかった理由のひとつとして「似たような本はヤングアダルト小説で既にあったから」という仮説を紹介していますが、「魂のプリンセス」の表紙をみているとその強力な傍証になっているような気がしたんですが、皆さんはどう思われますでしょうか?

以前、「アメリカ既にある、ライトノベルのような小説」の例としてあげたのはメグ・キャボットの『プリンセス・ダイアリ』であるとか『メディエイター』でしたが、それらもヤングアダルト棚で元気に並んでいました。
メグ・キャボット

<追記>

翌々日、もういちどポウエルブックストアに行ってみると、大きな見落としがありました(汗)。

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ヤングアダルトの一角にgraphic novels -teen (十代向け)という棚があるではありませんか!
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しかも、そこにはマンガも並んでいて、『Death Note』やら『NARUTO』がありました。Graphic Novels & Mangaの棚とは別に、ヤングアダルトの一角にGraphic Novelsがあるのは年齢層を意識してのことでしょうけれど、ざっと見た感じでは分け方がよく分かりません。『ソードアート・オンライン』なんて、どう考えてもティーン向けでしょうけどティーンじゃない方の棚だったりしますから。どの本が子供向けで、どの本がティーン向けなのか、本屋さんもどっちに分けていいのかわからなくて困ってるのかも知れません。そして、このヤングアダルト内のgraphic novelsにはライトノベルは紛れ込んでいませんでした。『ハルヒ』はまったく別のところにありましたし。
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(報告:太田)

 

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