昨年5月に開催された「ゲームオンフェスティバル2012」にて、『ロードス島戦記』のオンラインゲーム化が発表された際は結構驚いたものでした。当時は真っ先に「なぜこのタイミングで???」という疑問が浮かびましたが、思えば翌2013年は小説版『ロードス島戦記』(1988年)が発売されてから25年という節目。これを念頭に話題の先陣を切ったとすれば、何となく納得出来る所があります。
【参考】ラノベ史探訪(16)-今、ふたたびの『ロードス島戦記』
そして今年。ちょうど昨日(6/21)、web KADOKAWAに「ロードス島戦記生誕25周年」の特設ページがオープンし、小説版『ロードス島戦記 灰色の魔女』の豪華単行本&文庫新装版、および、OVA版「ロードス島戦記」デジタルリマスターBlu-rayBOXの発売が告知されました。現時点でBlu-rayBOXはAmazonのランキングTOP10入りを果たすなど、未だ根強いファンがいることをうかがわせますね。う~ん。私も買ってしまいそうです(汗)
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OVA版「ロードス島戦記」 デジタルリマスター Blu-ray BOX
角川書店 2013-11-29 |
さて、よく知られているように、水野良氏による小説版『ロードス島戦記』にはモデル(元ネタ)が存在しています。すなわち、角川書店のパソコンゲーム誌『コンプティーク』に連載されていた、グループSNEのメンバーによるTRPG版『ロードス島戦記』のリプレイですね。1986年9月号から第1部「灰色の魔女」がスタートしてたちまち人気を博したこの連載。ラノベ史的に見れば、後に活況を呈することになる「TRPGリプレイ→小説・アニメ・ゲームetc」という展開ルートを確立させた点で無視出来ない存在と言えます。また、当時リアルタイムで連載を読まれていた方にとっては、素直に懐かしさを感じられるかもしれません。
となれば「もう一度リプレイ版を読んでみたい!!」という声が当然上がって来そうですが…残念ながら、現時点では結構難しいと思います。何しろ『コンプティーク』に連載されたTRPGリプレイは単独出版されていませんし、当時の『コンプティーク』自体も、国立国会図書館にすら所蔵がほとんどない状態ですから(過去盗難にあったようで…)。ヤフオクにも何冊か出品されていますが、いずれもプレミア価格で手が出しづらい状態です。
ちなみに手元の資料を確認する限り、どうやらTRPGリプレイ自体、当初は単独出版の予定があった模様。一応、その旨が『コンプティーク』誌上で告知されていました。実現しなかったのは『D&D』の版権問題が絡んでいるようです。
せっかくの25周年…何とかならないものかなぁ?とは思うのですが、現時点まで全く動きがない以上、やはり実現は難しいと考えた方がよさそうですねorz
なお、TRPGリプレイ版連載当時の『コンプティーク』書影と、連載タイトルの一覧は以下の通りです。ご参考までに。
09月号:第1部 episodeⅠ「旅の仲間」
10月号:第1部 episodeⅡ「魔法使いの隠れ家」
11月号:第1部 episodeⅢ「捕われた姫君」
12月号:第1部 episodeⅣ「大魔女の封印」
01月号:第1部 episodeⅤ「狂王と迷宮」
02月号:第1部 episodeⅥ「ミノタウロスの魔宮」
03月号:第1部 episodeⅦ「ドワーフの大トンネル」
04月号:第1部 episodeⅧ「旅の終わり」
05月号:D&D誌上ライブ新企画発表
06月号:第2部 episodeⅠ「海竜亭の一夜」
07月号:第2部 episodeⅡ「冒険者ギルド」
08月号:第2部 episodeⅢ「海賊の砦」
09月号:第2部 episodeⅣ「捕われた勇者たち」
10月号:第2部 episodeⅤ「ブルー・ドラゴンの島」
11月号:第2部 episodeⅥ「魔法使いの村」
12月号:第2部 episodeⅦ「魔法使いと鎧の怪物」
01月号:第2部 episodeⅧ「火竜山への旅」
02月号:第2部 episodeⅨ「吸血鬼の館」
03月号:第2部 episodeⅩ「鏡の森の妖精」
04月号:第2部 episodeXI「火竜山の死闘」
05月号:第2部 episodeXII「レッド・ドラゴン」
06月号:第2部 episodeXIII「傭兵王と杖」
07月号:第2部 Final episode「さらば勇者たちよ」
08月号:—
09月号:第3部 episodeⅠ「6人の冒険者」
10月号:第3部 episodeⅡ「黒い影を追って!」
11月号:第3部 episodeⅢ「5人のダーク・エルフ」
12月号:第3部 episodeⅣ「神官王エト」
01月号:第3部 episodeⅤ「黒の導師」
02月号:第3部 episodeⅥ「カノンの海賊船」
03月号:第3部 episodeⅦ「7人の冒険者」
04月号:第3部 episodeⅧ「甦った戦士」
05月号:第3部 episodeⅨ「反乱の狼煙」
06月号:第3部 episodeⅩ「ルード解放!」
07月号:第3部 episodeXI「英雄戦争、再び!」
08月号:第3部 episodeXII「決戦!」
09月号:第3部 final episode
そしてTRPG版『ロードス島戦記』リプレイの連載終了後、新たな連載企画としてスタートしたのが『漂流伝説クリスタニア』になります。こちらの紹介もいずれまた。
*小説版『ロードス島戦記』の刊行元となった角川文庫〈青帯〉&スニーカー文庫、小説や特集記事が掲載された『ザ・スニーカー』関連の話題は以下でふれていますので、合わせてご覧頂けましたら幸いです。
【参考】ラノベ史探訪(1)-「スニーカー文庫」:名称の公募から決定まで【前編】
【参考】ラノベ史探訪(5)-ラノベ専門誌の始まりを見てみよう【「ザ・スニーカー」編】
*追記(6月24日)
『コンプティーク』に掲載されたリプレイのうち、第1部と第2部は『D&D』のルールに則って行われたため、単行本化に当たっては『D&D』の版権が足枷となったようです。それもあってか、連載第3部からはオリジナルルールが採用され、後にスニーカー文庫から出版されたリプレイ単行本は、全てこのルールでプレイされた内容になっています。こちらは『コンプティーク』本誌に比べれば中古で入手しやすいので、連載版でなくともリプレイの雰囲気を知りたい!!という方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
以上、久しぶりの「ラノベ史探訪」でした。
【文責:山中】
実家に全話切りぬきして置いてたわ。
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