【イベント】「怪異の時空」三部作刊行記念「怪異は語る」怪異怪談研究会(1/22)

2017/01/21

ライトノベル研究会のメンバーも参加されている怪異会談研究会は、昨年、「怪異の時空」三部作を青弓社から刊行しました。その記念イベントが2017年1月22日(日)16:00より、Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE で開催されます。

<Live Wire 告知より>

シリーズの監修を務めた一柳廣孝さんは、心霊や都市伝説などの怪異をベースにした文学研究者です。また、各巻の新進気鋭の編著者たちも登壇します。さらに、アンソロジスト・文芸評論家の東雅夫さんが途中から特別参加! 本シリーズで取り上げた、口承怪談、映画、落語、ラノベ、ゲームなど、様々な形で展開される「怪異表現のいま」に多角的に迫ります。

「怪異を語る」人々をフィールドワークした研究者たちは、その背景に何を見たか。「怪談」という装置が動くとき、語る/聞く人々の心の何を動かし、何を浮かび上がらせるのか。それはまさに、怪異「が」語る、21世紀の日本人の民俗的心性・集合的無意識の一つの断面ではないかと思われます。

怪談を愛好する人はもちろん、逆に不合理や怪異譚を忌み嫌う人にも楽しんでいただける、知的でスリリングなイベントになるはずです。

怪異を歩く (怪異の時空) 怪異を歩く (怪異の時空)
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怪異を魅せる (怪異の時空) 怪異を魅せる (怪異の時空)
飯倉 義之 一柳 廣孝

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怪異とは誰か (怪異の時空) 怪異とは誰か (怪異の時空)
茂木 謙之介 一柳 廣孝

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[出演] 一柳廣孝 今井秀和  大道晴香  飯倉義之 茂木謙之介
[途中から特別参加] 東雅夫

[日時] 2017年1月22日(日) 開場・15:30 開始・16:00(約2時間を予定)

[会場] Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE
(東京都新宿区新宿5丁目12-1 新宿氷業ビル3F)
・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分

[料金] 1500円 (当日券500円up)

詳細はコチラまで。

【文責:山中】


【速報】「第2回ライトノベル・フロントライン大賞」の大賞作品決定!!

2016/12/19

大橋崇行・山中智省編著『ライトノベル・フロントライン3』(青弓社)の刊行に合わせて発表される「第2回ライトノベル・フロントライン大賞」。

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この賞は、毎年多数の作品が刊行されるライトノベルのなかから、ひとつでも多くの作品が読者の手に届き、ライトノベルを楽しむ機会が増えてくれたらという願いから創設されました。具体的には、既存の各種ランキングが取りこぼしがちな新人作家のデビュー作に注目し、商業成績に拠らず、作品としてのおもしろさをしっかり評価することを第一に考え、良質なライトノベルを再発見していきます。

第2回ライトノベル・フロントライン大賞
第2回大賞の選考対象作品は2015年1月1日~同年12月31日までに、ライトノベル研究会が指定するレーベルから刊行された新人作家のデビュー作です。詳細は12月25日発売予定の『ライトノベル・フロントライン3』誌上での発表となりますが、今回は特別に大賞作品のみ、本ブログにて先行発表します!!

【「第2回ライトノベル・フロントライン大賞」 大賞作品はこちら!! 】

<大賞>

助供珠樹[著] / 春夏冬ゆう[イラスト]
『あの夏、最後に見た打ち上げ花火は』 (ガガガ文庫)

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〈 書籍の内容 〉
彼女と出会った、忘れたくないあの夏の日
何もないのどかな田舎町・松乃に暮らす中学2年生の眞田寛樹は、幼なじみの三島桐子・親友の阿久津恒正らと、毎年変わることのない夏休みを過ごしていた。そんなある日、徹夜をしてしまった寛樹は熱中症で倒れてしまい、助けてくれた謎の美少女・伊藤ノアに恋心を抱くようになる。日本語をうまく理解することのできないノアのために寛樹は妹のなずなと一緒になって、自分たちが暮らす町を案内したりしながら、徐々に距離を縮めていく。そんな時、寛樹はノアに過去の記憶がなく、深海生物に似た奇妙な生き物と共に自身がよく通っている駄菓子屋・伊藤商店の庭に倒れていたところを発見されたという事実を知る。さらに謎の生物がしゃべる名前が、先日まで自分が読書感想文を書くために読んでいた小説の作者の本名だということがわかり、ますます混乱していく。ノアが記憶をなくしたまま不安な毎日を過ごしていると感じた寛樹は、彼女の記憶を取り戻すべく、さまざまな場所に彼女を連れて行ったり、小説内に書かれたことを調べたりしていくのだが・・・・・・。第9回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作品。中学生の男女が繰り広げる甘くせつないひと夏の青春グラフィティが登場。
(小学館HP ガガガ文庫『あの夏、最後に見た打ち上げ花火は』より)

第2回大賞は上記の通り、助供珠樹[著] / 春夏冬ゆう[イラスト] 『あの夏、最後に見た打ち上げ花火は』 (ガガガ文庫)に決定しました。なお、本大賞の選考プロセスや候補作品、受賞者インタビューなどを、12月25日発売予定の『ライトノベル・フロントライン3』に掲載します。ぜひお手に取ってご覧ください!!

ライトノベル・フロントライン3: 特集 第2回ライトノベル・フロントライン大賞はこれだ! ライトノベル・フロントライン3: 特集 第2回ライトノベル・フロントライン大賞はこれだ!
大橋 崇行 山中 智省

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あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫) あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫)
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【文責:山中】


【新刊小説】大橋崇行『レムリアの女神 La Diosa del Lemuria』(未知谷)

2016/09/22

ライトノベル研究会のメンバーである大橋崇行が、新刊の小説『レムリアの女神 La Diosa del Lemuria』を、未知谷から刊行します。9月25日の発売予定となります。
Amazonのページ→ こちら

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表紙カバーのデザインは、防人さん(pixiv:http://www.pixiv.net/member.php?id=211515 )です。
今回はいわゆるライトノベルではなく、書店では「文芸(SF、ファンタジー、ミステリなど)」に並ぶことが多いと思いますが、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
【文責:大橋】


フランス語ライトノベル翻訳のその後(2016)

2016/09/18

ここのところ、ライトノベルの英語翻訳からアメリカのヤングアダルト小説の話ばかりしていて他言語の話は放ってありました。先日、何気なく紀伊国屋のフランス語書籍の棚の横を歩いていたら、ライトノベルを見つけてしまいました!『狼と香辛料』『ソードアートオンライン』『ダンジョンで出会いを求めるのは間違っているだろうか?』『ログ・ホライゾン』が並んでいます。

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そういえば、フランス語訳の有無を調べてから4年以上が経過しました。あのときは、かなり悲惨な翻訳状況だったのですが、さすがに状況が進んでようです。調べてみると、OFELBEというライトノベル専門レーベルが立ち上がっているではありませんか。現在、発刊も含めれば、

  • DANMACHI   -La Légende des familias  (ダンジョンで出会いを求めるのは間違っているだろうか)
  • Durarara!! (デュラララ‼︎)
  • Log Horizon (ログ・ホライゾン)
  • Spice & Wolf (狼と香辛料)
  • Sword Art Online  (ソードアート・オンライン)
  • The Irregular at Magic High School  (魔法科高校の劣等生)

の6シリーズが扱われています。フランス語訳なのに英語のタイトルだらけなのは少し不思議に感じられるかもしれませんが、フランスのオタク達の主流は、まず英語で情報を得ているということの反映なのかもしれません。(一部には、日本語を直接読んでいるオタクもいますけど、、)DANMACHIというタイトルが笑えますけれど、これも英語のオタクの世界でDANMACHIという略称が広がっていたからだと思われます。また、母国語優遇政策をとってきたフランスでも、最近は英語のタイトルをそのままにしてフランス語訳するケースが結構ありますから、無理してタイトルをフランス語に訳すことも無いのでしょう。

(実は、イタリアでもライトノベルの専門レーベルが立ち上がっているのですが、そのあたりの報告はローマで『僕は友達が少ない』のイタリア語訳をゲットしてきた大橋さんの投稿を待ちたいと思います。)

さて、ライトノベルの英語翻訳について調べていく中で突き当たった「ヤングアダルト小説という壁」については、今までの連載の中で何回か触れてきました。ごく大雑把にまとめれば、「アメリカのヤングアダルト小説の中には、ライトノベルっぽい小説は既にあったので、アメリカの読者にとってライトノベルはさほど目新しいものには映らなかったのではないか。特に、初期の拙い翻訳文では既存のヤングアダルト小説に対抗できなかったのではないだろうか」というものです。ライトノベルにしてもヤングアダルトにしても、消費文化の行き着く先は似たようなことになるのではないか、というのが私の抱いた感想でした。

で、この推測はフランス語の世界でも成立するんだろうか?というのが、私が以前から抱いていた疑念でもあります。フランスにしても消費文化の伝統はアメリカや日本などよりも長く、爛熟したというか腐った文化を培ってきたわけですから。ロマン・アドレサン(Roman Adolescents)という10代の若者向け小説市場というのも成立しています。このあたりは、言語能力の壁があって中々調べられないでいるのですが、ネットで引っかかった面白そうな事例を紹介しておきます。

 

“Un Amour de Geek”(オタクの恋)41eogjsnc6l-_sx349_bo1204203200_

もう、そのまんまのタイトルですけど、Amazonに載っていたあらすじも、タイトルそのまんまです。

「トーマスはオタクだ。彼はこれまで、実生活にうごめく不愉快なことを避け続けてきた: 退屈な学校ではフランス語の先生がうんたらかんたら。彼が抱えた問題は、彼が恋に落ちたエステルである。 彼女は馬の背に飛び乗り、森の中の光を愛し、旅することを夢見ている。コンピューターが大嫌いなエステルは、彼がスクリーンにもう近寄らないと誓わなければ彼とはデートしないという。」(一部翻訳できなかったので誤魔化しました。)

中身の文章は読んでいませんが、「自分の世界に引きこもっている男の子が活動的な女の子に引っ張り回される」というテーマは実にラノベっぽい。

“Blind Spot”(ブラインド・スポット)

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日本趣味の本だけを出す独立系出版社らしいのですが、このシリーズは舞台が東京で日本人の女子高生Ayakoが目の障害を乗り越えて声優を目指すというお話。マンガに見えるかもしれませんが、小説です。これを見ながら、フィリピンで見た「ラノベっぽい少女小説」を思い出してしまいました。この本をフィリピンの書店の少女小説の棚に並べて置いておいても、なんの違和感もなさそうです。

日本が舞台で日本人が主人公の小説がフランスで書かかれているというのは、不思議な感じがするかもしれません。でも、まあ、日本の少女マンガだって、70年代頃まではアメリカやフランスを舞台にして、アメリカ人やフランス人を主人公にした作品が量産されていた訳です。(そんな時代は知らないという人は、ぜひ萩尾望都全集を参照ください。できれば忠津陽子あたりの、笑ってしまうぐらいチープなアメリカ学園ドラマも読んでいただきたいと思いますが、入手は困難かもしれません。)文化的な思い入れが激しくなると、こうした現象も多々起こるということなのでしょう。ご存知のようにフランスにおける日本趣味は長く続いており、マンガの世界では10年ほど前にやはり日本が舞台で日本人が主人公(女子高生のKiyoko)の”Pink Diarly“(ピンク・ダイアリー)という作品が現れています。

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この2作の事例を見ながら考えるのは、文芸の模倣は案外に簡単だということです。面白いと思った文芸を模倣して、自国の中に取り込んでしまう貪欲な力とでもいうのか。考えてみれば、アメリカのコミック文化を取り込んで成立したのが日本のマンガなのであれば、それが更に他国に取り込まれて咀嚼されてもなんの不思議もない訳です。フランス人が日本のアニメやマンガで馴染んだテーマやプロットを、そのまま小説で書くことも起こるでしょう。前掲の『ブラインド・スポット』なんていうのは、そういう例だと思います。そして、そのうちにフランス流に咀嚼された小説が書かれても不思議はないし、もうすでに書かれているかもしれない。そのとき、すでにある(前掲の『おたくの恋』のような)ロマン・アドレッサン小説とどれほどの違いが見られるのかというのは興味深い論点だと考えています。

(報告者:太田)


ライトノベルのようなアリス

2016/08/31

前回の報告で、ライトノベルから撤退したと思われていたSevenSeas社が『不思議の国のアリス』や『オズの魔法使い』をライトノベルの形式で出していたという話を書きましたが、先日何の気なしに調べてみたら、この話は昨年にネットに上がっていたし日本のアマゾンでも扱っていました。わざわざアメリカで見つける必要もなかったということで、報告者の不勉強を晒したということになります。だからという訳でもないんですが、実物を手にとって、もうちょっと詳しく紹介しておくことにしました。

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表紙はアニメ・マンガ風で、女の子の全身像。

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カラーの口絵が12ページ。

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本文の中に挿入されるマンガ風イラストもある。ということで、完全にライトノベルのフォーマットになっているんですが、ここであげたイラストは、オリジナルの『アリス』のイラストに対応していますね。『アリス』の挿絵で有名なのは初版のジョン・テニエルのもので、チェシャ猫だとかのキャラクターを決定づけた画家として有名です。テニエルの絵を収録している『アリス』を引っ張り出してきたのが、以下の写真ですが、同じ場面を絵にしているのが分かるかと思います。なお、英文はみた限り、オリジナルのまんまで、書き換えは無いようです。

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有名な、マッド・ティー・パティーの場面も対応していますけど、帽子屋がずいぶん若くてイケメンです。2010年の実写映画で帽子屋をやったジョニー・ディップが少し入ったんじゃないか、、、

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こんなふうにイラストの多くは、オリジナルの挿絵をマンガ風に書き直しているという印象を持ちました。もちろん、オリジナルにないイラストもあります。次の、穴に落ちて行くシーンはその一つですが、この構図は見覚えありませんか?私はどうしても思い出せないのですが、これが参照している(というかパクっている)絵が分かる方がいればお知らせください。

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さて、こういうイラストは誰が描いているんでしょう。イラストレーターの名前は裏表紙に書いてあったので、その”Kris Sisson”で検索してみたところ、フィリピンの男性(顔写真を見ると、結構おっさん臭いです)で、米国・フィリピン・シンガポールなどで活躍している人と知りました。

http://www.gunshiprevolution.com

http://isangkutsarangmoe.deviantart.com

http://www.pixiv.net/member.php?id=2858681

グローバルかつ、マイノリティからのリソース調達ということになります。米国における「日本風コンテンツ」の今後を考える上で、示唆的な事例のように思えました。

(報告者:太田)


アメリカの書店にて2016

2016/06/20

サンフランシスコに来たので、再びライトノベルやヤングアダルト小説の書店調査をやってみましたが、、、どうも街中の大型書店は片端から閉店してしまった模様です。個性的な書店は幾つも健在なんです。例えば、ビート文学の拠点になったCity Lights Bookstoreは今も健在で、本棚や飾ってある写真を眺めているのが本当に楽しくなる本屋ですが、ヤングアダルトの書棚はありませんでした。

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ビートの次に栄えたヒッピーの拠点になったヘイト・アシュベリー地区にも書棚が楽しい本屋がありましたが、グラフィックノベルは扱っていてもヤングアダルト小説の棚がない。

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やはり、ある程度の大型書店にならないとヤングアダルトの棚は設置されないのでしょうね。それがヤングアダルトの現状の位置というか市場規模なのではないかと思います。そして、そのような大型書店はどんどん潰れていき、サンフランシスコはその潮流の最先端を行っているということなのでしょう。

気をとりなおして、ジャパン・タウンの紀伊国屋書店に行きましたら、、、

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さすがにアメリカ西海岸における日本文化発信の拠点、日本語マンガがずらりと並び、アメリカのギーク(おたく)共が買い漁っています。そして日本語のライトノベルの棚もちゃんとあるのですが、英語で喋りながら、それらを抜き取ってはパラパラめくっているアメリカ人ギークたちの姿には、感慨深いものがありました。

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さて、「新着英語版ライトノベル」という棚もあったので、じっくり見ましたが、、、

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アメリカの学校はこの時期に夏休みに突入ということもあってか「夏の読書 メンバー20%割引」なんて紙まで貼ってありました。昔の日本の学生さんたちは夏休みに難しい本を読んだもんなんですが、、、

並んでいる本は、すでに一連の投稿でご報告したものばかりでしたが、ちょっとそこから外れたものもチラホラ。一つは菊地秀行が結構人気です。菊池に関しては、すでにVizメディアから”Another”が出ているのですが、『バンパイア・ハンターD』などのシリーズがDark Horse Booksというレーベルから出ていて、それがズラリと並んでいます。この5月に第23巻まで出ているらしく、成功したと言えそうです。

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このほかにも田中芳樹の『銀河英雄伝』があるし、VizのHaikasoruレーベルからも幾つか並んでいました。

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それも、『ハルヒ』と『デュララ!』の間に神林長平の本が並んでいたりするのです。IMG_9054

日本人の我々は、菊池秀行やHaikasoruから出ているSFやファンタジーをライトノベルには通常含めません。でも、アメリカ人読者はイラストの有無に関わらず、こういった小説をライトノベルとひとくくりにする傾向はあるみたいです。

また、Verticalという出版社が西尾維新の『傷物語』を出していました。DelReiで戯言シリーズを出して失敗した講談社は、新しい出版社でやり直しということなのでしょうか。

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もうひとつ驚いたのが、ライトノベルから撤退したと思われていたSeven Sees社が、『不思議の国のアリス』と『オズの魔法使い』をライトノベル化して出版していたことです!つまり、不思議の国のアリスのテキストをそのまま使って、アニメ・マンガ風表紙とイラストをつけた出版。日本からコンテンツを輸入するのを止めて、スタイルだけをもってきて英語の古典テキストをはめ込んだという本。

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実を言うと、マンガや小説は模倣が比較的簡単なので、コンテンツ輸入がある程度進むうちに、輸出先の自国産コンテンツがそれに取って代わるという事態もあり得るのではないかと思っていました。大塚英志などはかつて『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』で、まさにそういう説を展開したことがあります。手描きアニメについては、アニメーターの集団としての技術とそれを育む文化の膨大な蓄積がものをいう世界なので、模倣の障壁はかなり高いと私は思っています。ですから、私は大塚の意見には全面的には与しません。しかし、ディズニーアニメのキャラクター造形が日本アニメに似てきたこと(キャラクターの目や瞳が昔に比べてかなり大きくなっています)や、宮崎アニメの影響が随所に見られるようになってきたことは、よく指摘されていることです。マンガ(アメリカ流に言えばグラフィック・ノベル)の場合は、相変わらず日本マンガの絵柄は広まりませんが、コマ割りの展開などは日本マンガに似せたものが出回るようになりました。言って見れば、日本からの輸入コンテンツが現地化したというか、消化されてきているのです。

それらに比べ、小説(テキスト)の模倣はかなり簡単です。現地化はそれほど困難とも思えません。何しろ、アメリカにはヤングアダルト小説というマーケットと作品群と作家たちがどんと控えているからです。彼らが、いったん「これはウケる」と確信しさえすれば、日本のライトノベルっぽい作品はあっという間にアメリカナイズされるのではないでしょうか。

ところが、今回のSevenSees社の戦略は、テキストの現地化などというまどろっこしいこともやめて、テキストを古典から引っ張ってライトノベルっぽく仕立てるという強引なもの。成功するような気はしませんけれど、コンテンツの輸出入という観点から、面白い事例だと思います。

(報告太田)


タイの書店にて(3)

2016/05/23

前回紹介した、バンコクの大手書店ですが、マンガはあまり見かけませんでした。マンガ本と活字の本の間には、敷居みたいなものがあるのかもしれません。そのマンガですが、道端の露天商ではよく見かけました。一冊50バーツですから、日本円にして150円くらい。

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これが、ライトノベルになると169バーツであったりしますから、一気に3倍になります。マンガより小説の方が価格がかなり高いというのは、ライトノベルの流通を考える上では考慮に入れておくべき背景だと思います。

東南アジアの国々は日本のコンビニが浸透していますが、中に入ってみるとバンコクでも地方都市でも少女小説をよく見かけました。写真のように、女性向けロマンス小説と「ライトノベルっぽい少女小説」が必ず置いてあります。しかし、ここで翻訳日本マンガを見たことはありません。タイの一般書籍の流通と、翻訳マンガの流通の違いについてはどこかで考えておくべき問題のように思えました。

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なお、その少女小説の横に、お坊さんマンガがよく並んでいたのは、仏教国家タイならではの風景かもしれません。

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(報告:太田)

この記事は、JSPS科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究・15K12848「現代日本におけるメディア横断型コンテンツ
に関する発信および受容についての研究」/研究期間:平成27~29年度)の助成を受けた活動に基づいて執筆されています。


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