シンポジウム『ライトノベル研究の現在』:日本近代文学会東海支部第58回研究会(2017年3月4日)

2017/02/20

来る3月4日(土)、名古屋大学東山キャンパスにて、シンポジウム『ライトノベル研究の現在』(日本近代文学会東海支部・JSPS科研費「現代日本におけるメディア横断型コンテンツに関する発信および受容についての研究」共催シンポジウム)が開催されます。詳細は以下の通りです。

【趣旨説明】

2000年代半ばに大塚英志や東浩紀、新城カズマといった批評家、作家たちによって語られていたライトノベルは、一柳廣孝・久米依子編『ライトノベル研究序説』(青弓社、2009)以降、学術研究の対象としてこれらの作品群をどのように扱うのかについて、具体的な方向性が模索されるようになった。その中で、ライトノベルは小説としての問題だけではなく、マンガやアニメーション、実写映画、インターネット上の動画サイト、ポピュラー音楽など、さまざまなメディアとの関わりを踏まえて考える必要性が浮き彫りになっている。この他にもライトノベルの作品群には、多様な問題系が見いだされる。具体的には、児童文化とヤングアダルト文化との断続をめぐる問題、海外への広がりと翻訳、青少年文化におけるジェンダーのあり方、「ラノベ読み」と呼ばれる読者たちがインターネット上を中心に編成されてきたライトノベルの「歴史」をどのように検証するかなどである。また近年では、いわゆる「ライト文芸」の出現や、ライトノベルがweb小説、時代小説に接続したことを受けて、当初ライトノベルが想定していた中高生にとどまらない幅広い年代に読者が拡散した。その意味でライトノベルは、現代において編成されている物語を考える上で欠かせない作品群として、今なお成長し続けているのである。本シンポジウムでは、こうしたライトノベルの状況を見据えながら、研究の現在と、これからどのように現代の物語を論じることができるのかについて、その方向性を探っていく。フロアも交えた質疑も行うため、積極的な議論を期待したい。

【基調報告要旨】

接点としての児童文学
―如月かずさ作品を軸に

大島 丈志

児童文学作家如月かずさは、『ライトノベル・フロントライン』第2号(2016年)のインタビューの中で、幼少期からゲームを自作し、高校時代よりライトノベルを読み、創作にあたり、ライトノベルの文体を意識しているとする。同時に、日本児童文学者協会新人賞を受賞した『カエルの歌姫』(2011年)の受賞者コメントでは、「漫画やライトノベルではできない物語」(『日本児童文学』日本児童文学者協会、2012年8月)が創作の出発点と述べる。この点から如月がライトノベルと児童文学の境を意識した作家であることが分かる。 一方で、如月かずさの作品には、様々な「サブカルチャー」が内在している。『カエルの歌姫』は、中学生の性の揺らぎ、友達との日常を描く。さらに、ライトノベル・ゲーム・マンガといった「サブカルチャー」が作品内にちりばめられている。如月作品において、ライトノベルをはじめとする「サブカルチャー」がどのように内在しているのか、それらを使用することが、どのような世界観を生み出すのか。『カエルの歌姫』を軸にして、同時期に発表された他の如月の作品も参照しつつ読みといていく。

アニメ文化が育んだ文庫レーベルの〝位置〟
―「アニメージュ文庫」からみえるもの

山中 智省

徳間書店が発行する『アニメージュ』(1978年5月創刊)と言えば、日本を代表するアニメ雑誌の一つである。この雑誌と同じ名を冠する文庫レーベル「アニメージュ文庫」は、アニメ・ファンを想定読者として1982年12月に創刊された。当初のアニメージュ文庫は、内容の異なる5つの部門(NOVEL・CHARACTER・FILM・PEOPLE・THE BEST)を擁しており、『アニメージュ』との連携を図りつつ、多種多様な刊行物を世に送り出していた。例えば、アニメ作品のノベライズやオリジナル小説のほか、人気キャラクターの写真集、傑作アニメのフィルムブック、アニメーターや脚本家の自伝など、そのラインナップは多岐にわたる。さらに、アニメージュ文庫はアニメ文化との繋がりが強い文庫レーベルの性格上、視覚メディアと活字メディアに跨った作品展開・作品受容を促し、現代のメディア横断型コンテンツの発展にも寄与してきたと考えられる。本発表では、アニメージュ文庫が創刊された1980年代を中心にその実態と特徴を明らかにし、当時の児童文化・青少年文化、ならびに後のライトノベルに繋がっていく若年層向け小説の流れにおいて、どのように位置づけられるのかを考察していく。

ライトノベルの韓国語翻訳のあり方についての考察
―渡航のライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』を中心に

田 泰昊

韓国での日本文学の受容は、1990年代の村上春樹のヒットから増え始め、2000年代からは若者層を中心に高い人気を得るようになっている。そのうち、ライトノベルの部数の増加は特に目立つものであり、2008年には韓国で翻訳された日本の小説全体の約50%を占めるほどになった。ただし、ライトノベルの場合、出版元の多くが、マンガやアニメ関連の出版社で、他の日本文学の翻訳の様相とは異なる場合があると見られる。例えば、翻訳者が既存の文学作品の翻訳者と異なり、元マンガ翻訳者であったり、翻訳の経験は皆無だがマンガやアニメに詳しい人であるという理由で担当になったりするケースがある。このような状況は翻訳の質や具体的な翻訳のあり方にも影響を及ぼすと考えられる。ライトノベルの翻訳に関する研究はすでに2点(허경숙 2010; 김애연 2012)あるが、これらの研究はあくまでも韓国の通訳翻訳大学院で行われたもので、主に翻訳の誤りを指摘し、正しい翻訳の例を提示することに止まっていた。そこで本発表では渡航のライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』を中心に、実際の韓国語での翻訳がどのように行われているかを具体的に提示し、そこに見られる問題点について考察したい。

(以上、案内資料より引用)

【文責:山中】


【イベント】「怪異の時空」三部作刊行記念「怪異は語る」怪異怪談研究会(1/22)

2017/01/21

ライトノベル研究会のメンバーも参加されている怪異会談研究会は、昨年、「怪異の時空」三部作を青弓社から刊行しました。その記念イベントが2017年1月22日(日)16:00より、Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE で開催されます。

<Live Wire 告知より>

シリーズの監修を務めた一柳廣孝さんは、心霊や都市伝説などの怪異をベースにした文学研究者です。また、各巻の新進気鋭の編著者たちも登壇します。さらに、アンソロジスト・文芸評論家の東雅夫さんが途中から特別参加! 本シリーズで取り上げた、口承怪談、映画、落語、ラノベ、ゲームなど、様々な形で展開される「怪異表現のいま」に多角的に迫ります。

「怪異を語る」人々をフィールドワークした研究者たちは、その背景に何を見たか。「怪談」という装置が動くとき、語る/聞く人々の心の何を動かし、何を浮かび上がらせるのか。それはまさに、怪異「が」語る、21世紀の日本人の民俗的心性・集合的無意識の一つの断面ではないかと思われます。

怪談を愛好する人はもちろん、逆に不合理や怪異譚を忌み嫌う人にも楽しんでいただける、知的でスリリングなイベントになるはずです。

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[出演] 一柳廣孝 今井秀和  大道晴香  飯倉義之 茂木謙之介
[途中から特別参加] 東雅夫

[日時] 2017年1月22日(日) 開場・15:30 開始・16:00(約2時間を予定)

[会場] Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE
(東京都新宿区新宿5丁目12-1 新宿氷業ビル3F)
・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分

[料金] 1500円 (当日券500円up)

詳細はコチラまで。

【文責:山中】


【告知】ライトノベル関連の学会発表

2015/10/06

日本近代文学会 2015年度秋季大会

松永寛和「ライトノベルの著者近影論」
*発表要旨はコチラ

日時:2015年10月24日(土)・25日(日)
会場(1日目):石川県文教会館[地図
会場(2日目):金沢大学 角間キャンパス 人間社会第一講義棟[地図
関連:日本近代文学会

日本出版学会 2015年度秋季研究発表会

山中智省「ライトノベル雑誌がもたらしたメディア横断的な物語受容と創作―『ドラゴンマガジン』の事例を中心に」」

日時:2015年12月5日(土)13:00~17:00
会場:奈良女子大学 S棟227教室・228教室
関連:日本出版学会

【文責:山中】


【イベント告知】著者イベント開催!~「エンタメ文芸」って何だ!?(2015/05/10@ネイキッドロフト)

2015/04/06

ライトノベル研究会の大橋崇行氏も参加する以下のイベントが開催されます。
(詳細はT-LINEノベルス公式サイト、またはネイキッドロフト公式サイトをご確認下さい)

「 T−LINEノベルスpresents ~「エンタメ文芸」って何だ!?~ 」

【出演】ヤマイ、村松茉莉、大橋崇行+追加ゲスト!?
【会場】ネイキッドロフト(Naked Loft) 
【開演】OPEN 18:30/START 19:00
【前売予約】¥1500/当日 ¥1800(共に飲食代別)

※前売り予約はネイキッドロフト店頭電話&ウェブ予約にて受付中
電話 03-3205-1556(16:30~24:00)
ウェブ 予約フォームあり
※当日限定のグッズ販売や、サイン会、プレゼント企画もあり。

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【文責:山中】


【2015/05/31】日本近代文学会春季大会におけるライトノベル/少女小説関連の発表

2015/04/03

2015年5月30日(土)~31日(日)の2日間、日本近代文学会春季大会が東京大学駒場キャンパスにて開催されます。この春季大会では、ライトノベル研究会のメンバーが関わるパネル発表と個人発表が予定されていますので、合わせてご案内致します。
(関連HP:日本近代文学会

【パネル発表】
「少女たちの〈いま〉を問う 1980年代の少女小説とジェンダー」
場所: 東京大学駒場キャンパス5号館 523教室
時間: 5月31日(日) 14時00分~16時30分
講演者: 久美沙織
発表者: 倉田容子・嵯峨景子・大橋崇行
ディスカッサント: 久米依子

【個人発表】
「ライトノベル雑誌からみる<物語生産システム>の具体相」
場所: 東京大学駒場キャンパス5号館 524教室
時間: 5月31日(日) 午前中(同会場で予定されている発表の3番手)
発表者: 山中智省

当日は会員以外の方も無料でご参加頂けます。ご興味のある方はぜひご検討下さい。
よろしくお願い致します。

【文責:山中】


【2015/3/28~29開催】コミケットスペシャル6 – OTAKU SUMMIT 2015 –

2015/03/08

2015年3月28日(土)~29日(日) 幕張メッセ国際展示場にて「コミケットスペシャル6 – OTAKU SUMMIT 2015 –」が開催されます。今回のコミケットスペシャルでは以下のシンポジウム等も企画されていますので、興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか?

シンポジウム:ラウンドテーブル(RT)
コミケットの未来・同人ソフトの未来
日時:3月28日(土) 11:20~12:30
場所:OTAKU EXPO セミナーブース

<予定パネリスト>
上原哲太郎 (立命館大学教授)
江崎望 (デジゲー博準備会代表)
岡田昌浩 (広島大学准教授)
小野憲史 (ゲームジャーナリスト)
小山友介 (芝浦工業大学准教授)
新清士 (ゲームジャーナリスト)
武田寧 (ONION software代表)
玉井建也 (東北芸術工科大学専任講師)
七邊信重 (マルチメディア振興センター)
細江慎治 (スーパースィープ代表)
<コーディネーター>
板垣貴幸 (Amusement Network)

アカデミックシンポジウム
日本発文化創造:同人文化を中心に
日時:3月28日(土) 12:50~14:20
場所:OTAKU EXPO セミナーブース

〈パネラー〉
出口弘 (東京工業大学大学院総合理工学研究科教授)
杉浦一徳 (慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科准教授)
森川嘉一郎 (明治大学国際日本学部准教授)
吉田正高 (東北芸術工科大学教養教育センター准教授)
中村仁 (日本経済大学経営学部専任講師)

クリエイターズ トークライブ
幕張メッセよ! 私は帰ってきた!
日時:3月29日(日) 13:30~14:30
場所:コミケットスペシャル6~常設ステージ~

<出演者>
賀東昭二 (代表作『フルメタル・パニック』『甘城ブリリアントパーク』)
氷川へきる (代表作『ぱにぽに』『CANDY POP NIGHTMARE』)
松智洋 (代表作『迷い猫オーバーラン!』『パパのいうことを聞きなさい!』)

【文責:山中】


【動画公開】大橋崇行『ライトノベルから見た少女/少年小説史』刊行記念トークセッション(2014/11/01開催)

2014/11/12

大橋崇行『ライトノベルから見た少女/少年小説史』(笠間書院) の刊行を記念して、2014年11月1日(土)にジュンク堂書店池袋本店で開催されましたトークセッションの動画が、Youtubeで公開中です。

なお、トークセッションにもご出演されている河野至恩氏は、11月22日(土)~23日(日)に開催されるコンテンツ文化史学会2014年大会「コンテンツと歴史認識」のシンポジウムにもご登壇予定です。

コンテンツ文化史学会2014年大会「コンテンツと歴史認識」
(東海大学高輪キャンパス4号館4304教室)

2014年11月23日(日) 13:45~15:15
<シンポジウム>「コンテンツ文化史研究を世界に拓く ―ヨーロッパ・アメリカ編」
司会:柳原伸洋(東海大学専任講師)

・マティアス・ファイファー(静岡県立大)「通俗化への怖れ ―ドイツのコンテンツ文化とファシズムの関係」

・河野至恩(上智大)「ポップカルチャー翻訳・受容の重層的な理解へ向けて——『All You Need Is Kill』英訳・映画化の事例から」

・北本かおり(講談社)・原基晶(東海大)「『チェーザレ』をはじめとした漫画のヨーロッパ展開について(仮)」

ライトノベルから見た少女/少年小説史: 現代日本の物語文化を見直すために ライトノベルから見た少女/少年小説史: 現代日本の物語文化を見直すために
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【文責:山中】


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