ラノベ史探訪(20)-TRPG版『ロードス島戦記』リプレイとパソコンゲーム誌『コンプティーク』

2013/06/22

昨年5月に開催された「ゲームオンフェスティバル2012」にて、『ロードス島戦記』のオンラインゲーム化が発表された際は結構驚いたものでした。当時は真っ先に「なぜこのタイミングで???」という疑問が浮かびましたが、思えば翌2013年は小説版『ロードス島戦記』(1988年)が発売されてから25年という節目。これを念頭に話題の先陣を切ったとすれば、何となく納得出来る所があります。

【参考】ラノベ史探訪(16)-今、ふたたびの『ロードス島戦記』

そして今年。ちょうど昨日(6/21)、web KADOKAWAに「ロードス島戦記生誕25周年」の特設ページがオープンし、小説版『ロードス島戦記 灰色の魔女』の豪華単行本&文庫新装版、および、OVA版「ロードス島戦記」デジタルリマスターBlu-rayBOXの発売が告知されました。現時点でBlu-rayBOXはAmazonのランキングTOP10入りを果たすなど、未だ根強いファンがいることをうかがわせますね。う~ん。私も買ってしまいそうです(汗)

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さて、よく知られているように、水野良氏による小説版『ロードス島戦記』にはモデル(元ネタ)が存在しています。すなわち、角川書店のパソコンゲーム誌『コンプティーク』に連載されていた、グループSNEのメンバーによるTRPG版『ロードス島戦記』のリプレイですね。1986年9月号から第1部「灰色の魔女」がスタートしてたちまち人気を博したこの連載。ラノベ史的に見れば、後に活況を呈することになる「TRPGリプレイ→小説・アニメ・ゲームetc」という展開ルートを確立させた点で無視出来ない存在と言えます。また、当時リアルタイムで連載を読まれていた方にとっては、素直に懐かしさを感じられるかもしれません。

tobira198609『コンプティーク』1986年9月号の連載第1回扉絵

となれば「もう一度リプレイ版を読んでみたい!!」という声が当然上がって来そうですが…残念ながら、現時点では結構難しいと思います。何しろ『コンプティーク』に連載されたTRPGリプレイは単独出版されていませんし、当時の『コンプティーク』自体も、国立国会図書館にすら所蔵がほとんどない状態ですから(過去盗難にあったようで…)。ヤフオクにも何冊か出品されていますが、いずれもプレミア価格で手が出しづらい状態です。

ちなみに手元の資料を確認する限り、どうやらTRPGリプレイ自体、当初は単独出版の予定があった模様。一応、その旨が『コンプティーク』誌上で告知されていました。実現しなかったのは『D&D』の版権問題が絡んでいるようです。

comp1987061987年6月号に掲載された告知広告

せっかくの25周年…何とかならないものかなぁ?とは思うのですが、現時点まで全く動きがない以上、やはり実現は難しいと考えた方がよさそうですねorz

なお、TRPGリプレイ版連載当時の『コンプティーク』書影と、連載タイトルの一覧は以下の通りです。ご参考までに。

<1988年>
comp1986

 

 

 

 

09月号:第1部 episodeⅠ「旅の仲間」
10月号:第1部 episodeⅡ「魔法使いの隠れ家」
11月号:第1部 episodeⅢ「捕われた姫君」
12月号:第1部 episodeⅣ「大魔女の封印」

<1987年>
comp1987

 

 

 

 

 

01月号:第1部 episodeⅤ「狂王と迷宮」
02月号:第1部 episodeⅥ「ミノタウロスの魔宮」
03月号:第1部 episodeⅦ「ドワーフの大トンネル」
04月号:第1部 episodeⅧ「旅の終わり」
05月号:D&D誌上ライブ新企画発表
06月号:第2部 episodeⅠ「海竜亭の一夜」
07月号:第2部 episodeⅡ「冒険者ギルド」
08月号:第2部 episodeⅢ「海賊の砦」
09月号:第2部 episodeⅣ「捕われた勇者たち」
10月号:第2部 episodeⅤ「ブルー・ドラゴンの島」
11月号:第2部 episodeⅥ「魔法使いの村」
12月号:第2部 episodeⅦ「魔法使いと鎧の怪物」

<1988年>
comp1988

 

 

 

 

 

01月号:第2部 episodeⅧ「火竜山への旅」
02月号:第2部 episodeⅨ「吸血鬼の館」
03月号:第2部 episodeⅩ「鏡の森の妖精」
04月号:第2部 episodeXI「火竜山の死闘」
05月号:第2部 episodeXII「レッド・ドラゴン」
06月号:第2部 episodeXIII「傭兵王と杖」
07月号:第2部 Final episode「さらば勇者たちよ」
08月号:—
09月号:第3部 episodeⅠ「6人の冒険者」
10月号:第3部 episodeⅡ「黒い影を追って!」
11月号:第3部 episodeⅢ「5人のダーク・エルフ」
12月号:第3部 episodeⅣ「神官王エト」

<1989年>
comp1989

 

 

 

 

 

01月号:第3部 episodeⅤ「黒の導師」
02月号:第3部 episodeⅥ「カノンの海賊船」
03月号:第3部 episodeⅦ「7人の冒険者」
04月号:第3部 episodeⅧ「甦った戦士」
05月号:第3部 episodeⅨ「反乱の狼煙」
06月号:第3部 episodeⅩ「ルード解放!」
07月号:第3部 episodeXI「英雄戦争、再び!」
08月号:第3部 episodeXII「決戦!」
09月号:第3部 final episode

そしてTRPG版『ロードス島戦記』リプレイの連載終了後、新たな連載企画としてスタートしたのが『漂流伝説クリスタニア』になります。こちらの紹介もいずれまた。

*小説版『ロードス島戦記』の刊行元となった角川文庫〈青帯〉&スニーカー文庫、小説や特集記事が掲載された『ザ・スニーカー』関連の話題は以下でふれていますので、合わせてご覧頂けましたら幸いです。

【参考】ラノベ史探訪(1)-「スニーカー文庫」:名称の公募から決定まで【前編】
【参考】ラノベ史探訪(5)-ラノベ専門誌の始まりを見てみよう【「ザ・スニーカー」編】

*追記(6月24日)
『コンプティーク』に掲載されたリプレイのうち、第1部と第2部は『D&D』のルールに則って行われたため、単行本化に当たっては『D&D』の版権が足枷となったようです。それもあってか、連載第3部からはオリジナルルールが採用され、後にスニーカー文庫から出版されたリプレイ単行本は、全てこのルールでプレイされた内容になっています。こちらは『コンプティーク』本誌に比べれば中古で入手しやすいので、連載版でなくともリプレイの雰囲気を知りたい!!という方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

replay

以上、久しぶりの「ラノベ史探訪」でした。

【文責:山中】


ラノベ史探訪(19)-オーバーラップ文庫とMF文庫J:創刊時の様相

2013/01/04

あらためまして、新年明けましておめでとうございます。

昨年1月からスタートした「ラノベ史探訪」ですが、皆様から多くのアクセスを頂き恐縮です。今年も不定期での連載を考えておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

さて、昨年末の冬コミ開催期間中、「あるニュース」でライトノベル界隈が盛り上がりを見せたことは記憶に新しいと思います。そう、オーバーラップ文庫の創刊告知ですね。2009年からMF文庫Jで刊行が始まり、2011年放映のアニメも大ヒットした弓弦イズル『IS〈インフィニット・ストラトス〉』の再起動をはじめ、著名なライトノベル作家やジュブナイルポルノ作家、プロデューサーやアニメ監督までも含んだ豪華作家陣を擁する創刊体制は、発表されるや否や大きな話題を呼びました。また、昨年見られた『IS〈インフィニット・ストラトス〉』をめぐる騒動や、現在のメディアファクトリーとオーバーラップの関係(オーバーラップの組織がメディアファクトリーを退社した人員で構成etc)から、今後の動向が各所で注目を集めています。

新レーベル・オーバーラップ文庫4月25日創刊 「IS」最新刊や志倉千代丸、山本寛の新作(アニメ!アニメ!)

[オーバーラップ]ライトノベルの新レーベル創刊 2年ぶり「IS」復活 山本寛監督も執筆(マイナビニュース)

over1『IS〈インフィニット・ストラトス〉』再起動

over3オーバーラップ文庫創刊告知

over2作家陣・新人賞告知

上でも少し触れましたが、オーバーラップとメディアファクトリーは浅からぬ関係にあるがゆえに、オーバーラップ文庫はMF文庫Jと並べて語られることが多いようです。今回の創刊をめぐる一連の動向が、かつての角川書店とメディアワークスの関係を彷彿とさせたことも、話題として取り上げられた一要因なのでしょう。

オーバーラップ文庫とメディアファクトリーお家騒動(主にライトノベルを読むよ^0^)

現在のライトノベル業界を角川グループが席巻するなか、角川以外の新たなレーベルが誕生するという点でも注目を集めたわけですね(ましてそれが、角川が買収したばかりのメディアファクトリー周辺での出来事であったという…)。なかなか興味深いです。

ところで…実に唐突で恐縮ですが…オーバーラップ文庫の創刊をめぐる話題が尽きないなか、「そういえばMF文庫Jの創刊って、どんな感じだったっけ?」という点はあまり顧みられていないようです。まあ、現状のMF文庫Jとの比較で十分事足りる話題なので、敢えて言及する必要がないのは確かです(汗) ただせっかくの機会ですので、あらためてMF文庫Jの創刊時の様相を振り返ってみたいと思います。

MF文庫Jの創刊は2002年7月25日。実はもう10年も前のことです(昨年夏に秋葉原で記念イベント開催)。ちなみに当時の創刊ポスターが以下のものになります。新海誠監督の『ほしのこえ』の画像が使用されていますが、2002年はちょうど作品が公開された年ですね。

mfj (1)MF文庫J創刊ポスター

mfj (2)創刊ラインナップ

創刊ラインナップは上の写真にある4作品。『ラーゼフォン』『ほしのこえ』『KaNa』など、当初はアニメ・マンガのノベライズ作品が多い状態だったことが分かります。

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ほしのこえ The voices of a distant star (MF文庫J) ほしのこえ The voices of a distant star (MF文庫J)
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KaNa‐哀‐〈1〉 (MF文庫J) KaNa‐哀‐〈1〉 (MF文庫J)
為我井 徹 広瀬 総士

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ホーリーメイデン―碧の瞳の少女 (MF文庫J) ホーリーメイデン―碧の瞳の少女 (MF文庫J)
橋本 純 Chiyoko

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しかし、こうして創刊ラインアップを眺めてみると、いわゆる「美少女もの」で萌え系のオリジナル作品が多い印象を持たれるMF文庫Jの現状とは、かなり趣が異なります。(本来はより綿密に経過を追うべきですが…)時間の経過によるレーベルおよび作品傾向の変化があらためて見て取れます。

ちなみにオリジナル作品が増え始めるのは、新人発掘方法の変更が一つの転機と言えるでしょう。かつてのMF文庫Jは、作品投稿を随時受け付ける&評価シートを希望者に送付という形式をとっていました。しかし2004年、「MF文庫J ライトノベル新人賞」の設置で公募形式となって以降、ノベライズ作品よりもオリジナル作品がラインナップの大半を占め、数々のヒット作品を生み出しながら現在へと至っています。

MF文庫Jライトノベル新人賞(MF文庫J公式HP)

創刊から10年を経て有力レーベルに成長してきたMF文庫J。新興レーベルでありながら高い話題性を確保し、4月の創刊に臨むオーバーラップ文庫。今後も両者の動向が注目を集めそうですね。相乗効果で何か新しい展開があるのかどうか、気になるところです。

【文責:山中】


ラノベ史探訪(18)-「富士見美少女文庫」の名称はどこから来たのか?

2012/12/18

私事で恐縮ですが、12/15~16開催のコンテンツ文化史学会2012年大会にて、「あの日見た文庫の存在意義を僕達はまだ知らない―八〇年代OVAノベライズの動向と富士見美少女文庫―」というタイトルで発表をさせて頂きました。当日会場にお越し下さいました皆様、誠にありがとうございました。頂きました貴重なご意見は、ぜひ今後の調査・研究に生かしていきたいと考えております。何卒よろしくお願い申し上げます。

ところで、前掲の発表タイトルにある「富士見美少女文庫」について、ご存知の方はどのくらいいらっしゃいますでしょうか?刊行元はあの富士見書房なのですが、おそらく富士見ファンタジア文庫や角川スニーカー文庫などに比べれば、圧倒的に認知度は低いのではないかと…。何しろこのレーベルから作品が刊行されていたのは、1986~93年の7年間のみ(しかも1991~92年の間は刊行なし)。作品数も全30タイトルと決して多くはありませんでしたし、現在では絶版になっていますので、若い世代ほど目にする機会はなかったと思われます。

また、刊行作品の多くが1980年代から台頭してくるOVAの金字塔・美少女アニメ「くりいむレモン」シリーズのノベライズであったため、ライトノベルというより、むしろジュブナイルポルノのはしりとして一部に知られているのが現状でしょうか。

【Wikipedia:ジュブナイルポルノ
【Wikipedia:富士見書房

この「富士見美少女文庫」について再検証を試みたのが大会での発表内容となります。詳細は別の機会にと考えておりますが、今回の「ラノベ史探訪」では話のとっかかりとして、調査の過程で発見された興味深い資料の一部を紹介します。それはずばり「「富士見美少女文庫」の名称はどこから来たのか?」を考えるための資料です。

???

となってしまった方々、申し訳ありません。順を追って説明しますと、実はここまで何度も使用してきた「富士見美少女文庫」という名称は、レーベルの通称に近いものなのです。正式な名称は「富士見文庫」で、刊行作品の奥付や関連広告も同じ記載が見受けられます。ゆえに「富士見美少女文庫」の名称についてはひとまず、同時代あるいは後年に読者側が名付けたものではないか?と推測していました(考えられる由来:美少女アニメ「くりいむレモン」シリーズのノベライズが多かったことや、ノベライズ/オリジナル作品で「美少女キャラクター」の存在が強調されていたことなど…)。そうしたことを考えながら調査を進めていくうちに、名称の由来に関連しそうな資料が出てきたのです。

「富士見美少女文庫」は1987~88年にかけて、「クライマックスフェア」(全4回開催)という文庫フェアを実施していました。ちょうど原作OVAでは「新くりいむレモン」シリーズが発売された時期に当たり、連動する形で行われたのがこのフェアになります。

IMG_0002(「クライマックスフェアⅡ」の開催告知広告)

フェアの開催中、刊行作品には専用帯が付けられていました。そしてこの専用帯には、はっきりと「美少女文庫」の名称が記載されています。

IMG(「クライマックスフェアⅡ」のフェア専用帯)

この帯の記載から分かるのは、刊行元である富士見書房が「美少女文庫」という名称を意識的に命名・使用していた事実です。なお現時点では、「美少女文庫」(および「富士見美少女文庫」)という名称を使用した事例は他に発見されておらず、フェア開催前後で大々的かつ継続的に使用された名称であったかは不明です。ただ上掲の資料は、「「富士見美少女文庫」という名称が刊行元からもたらされた可能性」、あるいはこの名称が読者側の通称であった場合なら、「命名に対して一定の影響を刊行元が与えていた可能性」を考える示唆となるものであることは確かでしょう(*もしも当時の状況についてご存知の方がいらっしゃいましたら、コメント等でお知らせ頂けましたら幸いです)。

今後の調査で少しずつ実態が解明出来ればと思います。
以上、久しぶりの「ラノベ史探訪」でした。

《2012/12/19 追記》
当記事の通番に誤りがあったため修正致しました。正しくは第18回(ラノベ史探訪(18))となります。

《2013/01/14 追記》
「富士見美少女文庫」の名称を誰が命名したのか?については、現在も使用された当時の資料が未発見のため、版元によるものであったか否かは断定出来ない状態です。また別の可能性として、版元による「美少女文庫」という名称の使用を受けた読者側による命名であったことも考えられるかと思います。

《2013/01/19 追記》
記事中の表現を一部修正。

【文責:山中】


ラノベ史探訪(17)-〈古典部〉シリーズ:キャラクターデザインの話

2012/07/01

現在も絶賛放送中のTVアニメ『氷菓』(制作:京都アニメーション)ですが、早いところでは「愚者のエンドロール」編のクライマックス放送が迫っていますね。果たしてどのような結末を迎えるのか、気になっている視聴者も多いことと思います。

さて、今回はそんな「愚者のエンドロール」に関連する話題を取り上げてみます。ご存知のように、そもそもこの話の元になっているのは原作2巻に当たる『愚者のエンドロール』です。アニメ放送を期に原作を読まれた方もいらっしゃるでしょう。

 『愚者のエンドロール』(角川文庫)

上の写真は現在書店に並んでいるであろう『愚者のエンドロール』ですが、おそらく現在はアニメ化に合わせた特製カバーが付いた版(カバーを取れば上の写真の表紙)を見かける機会の方が多いかもしれませんね。

愚者のエンドロール (角川文庫) 愚者のエンドロール (角川文庫)
米澤 穂信 高野 音彦

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ところで以前のエントリー(ラノベ史探訪(14)-『氷菓』とスニーカー・ミステリ倶楽部と)でも紹介させて頂いたのですが、「〈古典部〉シリーズ」のうち『氷菓』と『愚者のエンドロール』の2作までは、角川スニーカー文庫の「スニーカー・ミステリ倶楽部」で刊行されていました(後に角川文庫で再出版)。この2作については、現在書店に並んでいる角川文庫版とは装丁が大きく異なります。

(『氷菓』 角川スニーカー文庫 2001年)

(『愚者のエンドロール』 角川スニーカー文庫 2002年)

そして上の写真からも分かるように、スニーカー・ミステリ倶楽部版でも表紙イラストが2作で異なっています。『氷菓』のカバーイラストは上杉久代氏、『愚者のエンドロール』のカバーイラストは橋本紡『リバーズ・エンド』(電撃文庫)や桜庭一樹『推定少女』(ファミ通文庫)も手掛けている高野音彦氏が担当( カバーデザインはいずれも岩郷重力+WONDER WORK)。絵柄のせいもありますが、キャラクターデザインについて言えば『愚者のエンドロール』の方が(アニメ・マンガ的なキャラクターとして)より明確になってきています。なお、実際に現物を確認すると、『氷菓』では表紙と中表紙で同じ画像が使われていましたが、『愚者のエンドロール』では中表紙で〈古典部〉メンバー全員の姿が描かれた別の画像が使われており、原作でのキャラクターデザインがどのようなものであったかを知ることが出来ます。

『愚者のエンドロール』の中表紙

ここで試しにTVアニメ版のキャラクターデザインと比較してみましょう。

TVアニメ『氷菓』の告知用チラシより

TVアニメ『氷菓』の告知用チラシより

折木奉太郎の髪型などなど、各々のキャラクターデザインは微妙に異なっているのですが、個人的には「えるたそ」こと千反田えるは特に差があるように見受けられます。原作版では清楚で大人しめな女の子という印象が強く、TVアニメ版では原作版よりも活発でお茶目な印象を受けます。「あれ?なんか方向性がちがうんじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんので、この点については原作に見られる千反田の人物描写を引き合いに出しながら少し考えてみましょう。

そいつは教室の窓際にいて、こっちを見ていた。そこにいたのは女だった。
俺はこの時まで、楚々とか清楚とかいった語彙のイメージがどうもつかめないでいたが、その女を形容するのには楚々とか清楚と言えば形容できることはすぐにわかった。黒髪が肩まで伸びていて、セーラー服がよく似合っていた。背は女にしては高い方で、たぶん里志よりも高いだろうと思われた。女で高校生なのだから女子高生だが、くちびるの薄さや頼りない線の細さに、俺はむしろ女学生という古風な肩書を与えたいような気になる。だがそれら全体の印象から離れて瞳が大きく、それだけが清楚から離れて活発な印象を残していた。(『氷菓』より引用)

「楚々で清楚」な「女学生」でありながら瞳の大きさゆえに「活発」に見える…方向性が異なる2つの特徴を持ち合わせているのが千反田というキャラクターです(少なくとも初登場時点では)。このことを念頭に再度キャラクターデザインを見てみると、原作版では「楚々で清楚」という点を、TVアニメ版では「活発」という点を意識したデザインがなされているように見受けられます。TVアニメ版に慣れていると違和感を覚えるかもしれませんが、原作版は原作版で千反田の特徴の一面を捉えていると言えます。惜しむらくは原作版の場合、上の写真以外にキャラクターが描かれているものがないということですね~。他にもあればもっと考えられることも多かったと思うのですが。

【追記】
Twitter経由でSSMGの人の日記のmegyumi様より情報を頂きました。「惜しむらくは原作版の場合、上の写真以外にキャラクターが描かれているものがない」という点について、「ザ・スニーカー」掲載の「影法師は独白する」=「心当たりのあるものは」には高野音彦氏のイラストが付いているそうです。私も今度確認してみたいと思います。

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【文責:山中】


ラノベ史探訪(16)-今、ふたたびの『ロードス島戦記』

2012/05/29

『ロードス島戦記』オンラインゲーム化決定!!


■「ロードス島戦記」 のオンラインゲーム、2012年秋サービス開始予定! (オレ的ゲーム速報@JIN)
■ゲームオン、「ゲームオンフェスティバル2012」を開催 ポータルサイトの一新と5つの新作タイトルを発表(GAME Watch)

「ロードス島戦記 -伝説の継承者-」は、 小説、テーブルトークRPG、アニメ、コミックスなど多岐に渡ってメディアミックス展開している「ロードス島戦記」のオンラインゲーム。これまでに「ロードス島戦記」についてはゲームオンによるオンラインゲーム化と、そのPCおよびモバイル向けの開発権、また全世界における運営権をゲームオンに許諾されることは発表されていた。会場では未だゲームの内容などは明かされなかったが、今後随時情報を発信していくという。サービス時期は今秋を予定している。

今日の昼間、こんなニュースを耳にしたのですが…私を含め「えーっ!!」と驚いた方は結構大勢いたのではないでしょうか。いやはや、まさかオンラインゲームとして復活してくるとは予想していませんでした(汗)

さて、久しぶりの更新となりました今回の「ラノベ史探訪」では、にわかに注目が集まった『ロードス島戦記』について、その始まりを(簡単ですが)ふり返ってみたいと思います。すでにご存知の方も多いかもしれませんが、最後までお付き合い頂けましたら幸いです。

『ロードス島戦記』。その登場は今から遡ること26年前。1986年のパソコンゲーム専門誌「コンプティーク」(角川書店)が舞台となりました。当時の「コンプティーク」ではパソコンゲームやファミコンゲームのRPG特集が頻繁に組まれるようになり、そこでは『D&D』(ダンジョンズ&ドラゴンズ)の影響が色濃い海外CRPG『ウルティマ』や、『ハイドライド』、『ザナドゥ』、『ゼルダの伝説』、『ドラゴンクエスト』などの国内CRPGが取り上げられていました。また、これら以外にもTRPGに関する紹介記事が散見されます。「クロちゃん」の愛称で親しまれた黒田幸弘氏の連載「クロちゃんのRPG講座」も、「RPG WORLD」という専用コーナーで1986年1月号から開始されていました。

「コンプティーク」から少し離れて、より大きな視点に立って当時の動向を考えてみると、ちょうどこの頃は1980年代後半のファンタジー・ブームが本格化し始める時期に当たります。この点については以前の記事に詳しく書いていますので、お暇があれば一緒にご覧下さい(ラノベ史探訪(7)-「角川文庫のファンタジーフェア」とは?)。

まさにそんな時、「RPG WORLD」でグループSNEによるTRPGリプレイ「ロードス島戦記」の連載が開始されたのです。そしてこの連載は大きな反響を生み、先に触れたファンタジー・ブームを加速させる一要因にもなっていきます。以後の躍進ぶりは皆様ご存知の通りです。


(「コンプティーク」1986年9月号表紙)


(「コンプティーク」1986年9月号目次 見開き①)


(「コンプティーク」1986年9月号目次 見開き② *赤枠部分が掲載コーナー)

記念すべき連載第1回目の扉絵が以下の写真になります。なお、連載第1回目の内容は、DM(ダンジョンマスター)がプレイヤーにゲームルールや世界観、キャラクター設定の方法などの基本事項を説明しており、TRPGを始めるための準備をリプレイした形式となっています。本格的なゲームのスタートは連載第2回目からですね。


(『ロードス島戦記』 episode1「旅の仲間」)


(連載第1回目に掲載されたキャラクター集合イラスト)

『ロードス島戦記』は、第1部が1986年9月号~1987年4月号まで、第2部が1987年6月号(5月号で企画発表)~1988年7月号まで、第3部が1988年9月号~1989年9月号まで、それぞれ「コンプティーク」に連載されました。そして連載終了までの3年間に、小説版やカセットブック、コンパニオンの出版、パソコンゲームの発売等々、多角的な商業展開がすでに始められています。ちなみに『ロードス島戦記』の連載終了後に始まったのが、引き続きグループSNEが手掛けた『漂流伝説クリスタニア』でした。

で、今回は『ロードス島戦記』のオンラインゲーム化というニュースもありましたので、上でも少し触れたパソコンゲーム化についてもう少し紹介したいと思います。ゲーム化の発表が行われたのは「コンプティーク」1988年4月号。連載開始から2年も経たないうちの発表とは驚かされますね。実際の発売は1988年9月(ハミングバードソフト)。内容については「コンプティーク」に連載された第1部と小説版第1巻のストーリーをミックスしていたようです。詳細はこちら(Wikipedia)を参照。


(「コンプティーク」1988年4月号のゲーム化告知記事 見開き①)


(「コンプティーク」1988年4月号のゲーム化告知記事 見開き②)


(パソコンゲーム版『ロードス島戦記 灰色の魔女』)

このパソコンゲーム化発表以降、「コンプティーク」ではゲームのプレイ画面紹介や攻略法の記事が掲載されるようになり、TRPGリプレイの連載とともに誌上で盛り上がりを見せていきました。今となっては誌面を見て想像することしかできませんが…当時このゲーム化告知を目にしていた方、そして実際にリプレイを読みゲームをプレイされた方、どのような感想を持たれたのでしょうか?もしよろしければコメントに感想などお寄せ頂けましたら幸いです。

最後に現在のオンラインゲーム化に話を戻しますが、「GAME Watch」の記事によると、スーパーバイザーに小説版の著者・水野良氏がクレジットされているとのことです。実際のゲームでは(小説版や数作出ているゲーム版などの)既存ストーリーを再現するのか、それとも全く新しく組み上げられるのかは分かりませんが、いずれにしろ今後の動向が気になります。で、稼動の折にはぜひとも『ソードアート・オンライン』のキリトさんにご登場頂いて、パーンとの新旧騎士(剣士)一騎打ちを所望。その横ではアスナとディードリッドが彼氏自慢でヒートアップし…と、妄想はこの辺にしておきましょう(笑)

僕たちの好きなロードス島戦記―全ストーリー&キャラクター徹底解析 (別冊宝島 1561 カルチャー&スポーツ) 僕たちの好きなロードス島戦記―全ストーリー&キャラクター徹底解析 (別冊宝島 1561 カルチャー&スポーツ)

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【文責:山中】


ラノベ史探訪(15)-90年代のとある記事から

2012/03/15

現在では当たり前のように使われるライトノベルという名称ですが、その誕生は遡ること22年前、1990年頃の出来事になります。すでにご存知の方も多いように、名称誕生の舞台となったのは当時のパソコン通信ニフティサーブの「SFファンタジー・フォーラム」だったと言われています。その経緯についてはシスオペであった神北恵太氏のブログ記事や、新城カズマ氏の『ライトノベル「超」入門』(ソフトバンク新書)などに詳しいので、興味のある方はぜひチェックして見て下さい。

さて、パソコン通信の世界から誕生したライトノベルという名称が、現在のように一般化するまでにはそれなりに長い時間を要しています。しかし一般化するまでの間、類似する名称(「ジュヴナイル小説」「ティーンズ小説」「ヤングアダルト」など)があるなかで消えずにいたということは、どこかで脈々と使われ/語られ続けていたことを意味します。事実、急速に一般化が進んだ2004年前後のブーム以前にも、雑誌・新聞の記事、インターネットの掲示板やHPなどにチラホラ登場していました。今日はそれらのなかでも比較的初期のもので、現在にも通じる興味深い指摘を行っていたとある記事についてご紹介したいと思います。

(「本の森の散策」:「読売新聞」1994年7月25日)

上は1994年7月の「読売新聞」に掲載された読書エッセーです。執筆者はSF作家であり、朝日ソノラマ文庫や集英社コバルト文庫でも執筆経験を持つ大原まり子氏で、記事では『十二国記』シリーズなどで知られる小野不由美氏、『月世界』シリーズなどで知られる麻城ゆう氏の作品を紹介しています。特に注目したいのは、記事の前半部全てがライトノベルへの言及に費やされている点です。同時期の言説のなかでも、これほど詳細な記述は珍しいと思われます。

ライトノベルとは不可思議な和製英語だが、軽い小説といった意味合いでつけられたのだろう。かつて集英社コバルト文庫などの一連の少女小説を「字で書いた少女マンガ」と批判した女性マンガ家を知っているが、ライトノベルを「字で書いたアニメ」だという人もある。まずキャラクターがあり、会話と改行が多く、ノリがよく、現実味がなく、内容は空疎、描写が必要な箇所になるとイラストがはさまって読者の想像をおぎなう。

以下は大原氏のライトノベルに対する見解です。

わたしは文章によって物事を描写し尽くすことこそが小説家の醍醐味(だいごみ)だと思っているが、文字どおりケタちがいの売れ行きを知って、そもそもライトノベルの読者は、普通の小説の読者とちがうのではないかと感じはじめた。アニメ・ゲーム世代の読者は、ひょっとすると文章による描写がなくても勝手に絵が浮かんでいるのではないか。送り手にも受け手にも、アニメ(やゲーム)という基礎知識あるいは共有感覚があってはじめて成り立つ創作なのではないだろうか。だとすれば、これらの小説は小説というジャンルを越境したニュータイプである。そうして、読んでいる間は楽しくても、「それで、どういう意味があるの?」と問い返すような読者には無用のものだ―それはたとえば野田秀樹の芝居のように、その場かぎりの楽しみをもって消費されるべきものなのだ。

文章の描写力を「小説家の醍醐味」とする大原氏にとって、文字通り「ライト」に大量消費されていくエンターテインメント作品(=ライトノベル)は違和感を抱く代物だったようです。少なくとも大原氏の考える小説ジャンルとは別種の存在、「アニメ(やゲーム)という基礎知識あるいは共有感覚があってはじめて成り立つ」「ニュータイプ」の小説だと捉えられていることが分かります。「売り上げが至上命令」で「主人公の年齢や語りの人称まで編集者から指定されることもある、生鮮食料品のように売れなくなったらすぐ絶版にする、新人はどんどん登用するが何冊か出して売れなければ切り捨てる、など少年マンガ誌の方法を導入」した「熾烈(しれつ)な競争の世界」であり、「このジャンルでは作家はものを創る人間として遇されていない」という指摘は…なかなか手厳しいですね。しかし、ライトノベルの商業的な一面を鋭く突いている指摘でもあります。また、「ここにあげた特徴は、ライトノベルに分類されるすべての作品にあてはまるわけではない」として、描写力に優れた女性作家の異世界作品を評価している点からは、今も昔もライトノベルが玉石混交状態にある様を窺い知ることができるでしょう。

異世界を構築しなければいられないファンタジーの要請の意味をこそ、わたしたちは考えなければならない。

今回紹介した大原氏の記事の主旨は、第一には「ライトノベルにジャンル分けされる作品のなかにも、描写力に優れた作品があることを紹介する」というものです。しかし一方では…売り上げ第一で、一時の娯楽にしかならない空疎な作品を大量生産する状況への批判と、文章の描写力の重要性を訴える部分が少なからずあったように思われます。大原氏の記事が書かれたのは今から18年前。もしかすると何らかの反響が当時見られたかもしれませんが…現在ライトノベルに親しんでいる私たちとしては、この指摘にどのような印象を抱くでしょうか?ライトノベルが爛熟期を迎えている今、あらためて考えてみたい問題のひとつかと思います。

〈参考〉

ライトノベルよ、どこへいく―一九八〇年代からゼロ年代まで ライトノベルよ、どこへいく―一九八〇年代からゼロ年代まで
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【文責:山中】


ラノベ史探訪(14)-『氷菓』とスニーカー・ミステリ倶楽部と

2012/03/03

本日(3/2)、4月から放送が開始されるTVアニメ『氷菓』のオフィシャルサイトがオープンしました。制作があの京都アニメーションということもあり、4月放送開始のアニメのなかでも期待されている作品のひとつです。

TVアニメ「氷菓」京アニティザーサイト | 京都アニメーション
TVアニメ「氷菓」オフィシャルサイト

さて、すでにご存知の方も多いと思われますが、TVアニメ『氷菓』はミステリー作家として知られる米澤穂信氏のデビュー作であり、「〈古典部〉シリーズ」の第一作となる『氷菓』を原作としています。この作品は第5回角川学園小説大賞(2001年)のヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、角川スニーカー文庫の「スニーカー・ミステリ倶楽部」の初期ラインナップの一冊として刊行されました。

(『氷菓』 角川スニーカー文庫 2001年』)

「え?こんな表紙の『氷菓』、書店にあったっけ?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。おそらく現在書店で手に入る『氷菓』は下の角川文庫版です。どうやらスニーカー・ミステリ倶楽部の成績が振るわず短命に終わったために、角川文庫から出し直すことになったようですね。

(『氷菓』 角川文庫 2006年)

「〈古典部〉シリーズ」の第二作にあたる『愚者のエンドロール』まではスニーカー・ミステリ倶楽部で刊行されていたのですが、それ以降は角川書店の単行本か角川文庫に移っています。そのため上の表紙(カバーイラスト:上杉久代 / カバーデザイン:岩郷重力+WONDER WORKZ)の『氷菓』については、中古書店などで見つけるしかないと思われます。

(『愚者のエンドロール』 角川スニーカー文庫 2002年』)

ちなみに『氷菓』と一緒に刊行された作品ラインナップには、スニーカー・ミステリ倶楽部の名の通り、『ミステリー・アンソロジーⅠ 名探偵はここにいる』、『幽霊は行方不明 Dear My Ghost 』、『匣庭の偶殺魔』、『ダミーフェイス』などのミステリ作品が顔をそろえていました。これらの書影をAmazonで確認すると、表紙のデザインは上部にイラスト、中央に英字表記のタイトル、下部が黒で統一されています。一般文芸読者が手に取れるよう意識したためか、表紙イラストもそこまで派手なものはなく、全体として落ち着いた感じでまとまっている印象です。

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私も全ての作品には目を通せていませんが、手にする機会があればぜひ読んでみたいと思っています。せっかくなので国立国会図書館に所蔵がないか調べてみましたが(検索キーワード:スニーカー・ミステリ倶楽部)、『氷菓』を含む6作品しかないようです。もっとあるはずなんですが…。どの時期にどれだけ出ていたのか、それから(すでにどこかで指摘されているような気がしますが)同時期に刊行されていた富士見ミステリー文庫との関係についても少し調べてみる必要がありそうです。

ところで、まったく話は変わるのですが…上で紹介した『氷菓』(スニーカー文庫版)の表紙で、非常に不遇な扱いを受けている登場人物がいることにお気づきでしょうか。もう一度よ~く表紙を確認してみてください。

不幸にも、上半身ぶった切り状態で登場しているこの人物、一体誰なのか?服装から見て明らかに女子です。古典部の主要メンバーは当初4人、折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花。このうち千反田と摩耶花の身体的特徴を考えるとおそらくは…。答えは中表紙に配された表紙の背景違いイラストを見ると分かります。

(『氷菓』中表紙)

まあ、間違いなく摩耶花でしょう。このぶった切り状態はちょっとかわいそうな気もしますが、タイトルを入れる関係上やむを得ずやってしまったのか、それとも敢えてこうしたのか…真実は藪の中ですね。もしも今回のアニメ化を機に新装版が出るようなことがあれば、今度はちゃんと全身入れてあげてほしいなと個人的には思っています。

≪追記≫
上で「まあ、間違いなく摩耶花でしょう。」と最初は自信たっぷりに書いていましたが、よくよく表情や仕草を見ると、これって千反田だったかもと思い直したり…。

【文責:山中】


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