シンポジウム『ライトノベル研究の現在』:日本近代文学会東海支部第58回研究会(2017年3月4日)

2017/02/20

来る3月4日(土)、名古屋大学東山キャンパスにて、シンポジウム『ライトノベル研究の現在』(日本近代文学会東海支部・JSPS科研費「現代日本におけるメディア横断型コンテンツに関する発信および受容についての研究」共催シンポジウム)が開催されます。詳細は以下の通りです。

【趣旨説明】

2000年代半ばに大塚英志や東浩紀、新城カズマといった批評家、作家たちによって語られていたライトノベルは、一柳廣孝・久米依子編『ライトノベル研究序説』(青弓社、2009)以降、学術研究の対象としてこれらの作品群をどのように扱うのかについて、具体的な方向性が模索されるようになった。その中で、ライトノベルは小説としての問題だけではなく、マンガやアニメーション、実写映画、インターネット上の動画サイト、ポピュラー音楽など、さまざまなメディアとの関わりを踏まえて考える必要性が浮き彫りになっている。この他にもライトノベルの作品群には、多様な問題系が見いだされる。具体的には、児童文化とヤングアダルト文化との断続をめぐる問題、海外への広がりと翻訳、青少年文化におけるジェンダーのあり方、「ラノベ読み」と呼ばれる読者たちがインターネット上を中心に編成されてきたライトノベルの「歴史」をどのように検証するかなどである。また近年では、いわゆる「ライト文芸」の出現や、ライトノベルがweb小説、時代小説に接続したことを受けて、当初ライトノベルが想定していた中高生にとどまらない幅広い年代に読者が拡散した。その意味でライトノベルは、現代において編成されている物語を考える上で欠かせない作品群として、今なお成長し続けているのである。本シンポジウムでは、こうしたライトノベルの状況を見据えながら、研究の現在と、これからどのように現代の物語を論じることができるのかについて、その方向性を探っていく。フロアも交えた質疑も行うため、積極的な議論を期待したい。

【基調報告要旨】

接点としての児童文学
―如月かずさ作品を軸に

大島 丈志

児童文学作家如月かずさは、『ライトノベル・フロントライン』第2号(2016年)のインタビューの中で、幼少期からゲームを自作し、高校時代よりライトノベルを読み、創作にあたり、ライトノベルの文体を意識しているとする。同時に、日本児童文学者協会新人賞を受賞した『カエルの歌姫』(2011年)の受賞者コメントでは、「漫画やライトノベルではできない物語」(『日本児童文学』日本児童文学者協会、2012年8月)が創作の出発点と述べる。この点から如月がライトノベルと児童文学の境を意識した作家であることが分かる。 一方で、如月かずさの作品には、様々な「サブカルチャー」が内在している。『カエルの歌姫』は、中学生の性の揺らぎ、友達との日常を描く。さらに、ライトノベル・ゲーム・マンガといった「サブカルチャー」が作品内にちりばめられている。如月作品において、ライトノベルをはじめとする「サブカルチャー」がどのように内在しているのか、それらを使用することが、どのような世界観を生み出すのか。『カエルの歌姫』を軸にして、同時期に発表された他の如月の作品も参照しつつ読みといていく。

アニメ文化が育んだ文庫レーベルの〝位置〟
―「アニメージュ文庫」からみえるもの

山中 智省

徳間書店が発行する『アニメージュ』(1978年5月創刊)と言えば、日本を代表するアニメ雑誌の一つである。この雑誌と同じ名を冠する文庫レーベル「アニメージュ文庫」は、アニメ・ファンを想定読者として1982年12月に創刊された。当初のアニメージュ文庫は、内容の異なる5つの部門(NOVEL・CHARACTER・FILM・PEOPLE・THE BEST)を擁しており、『アニメージュ』との連携を図りつつ、多種多様な刊行物を世に送り出していた。例えば、アニメ作品のノベライズやオリジナル小説のほか、人気キャラクターの写真集、傑作アニメのフィルムブック、アニメーターや脚本家の自伝など、そのラインナップは多岐にわたる。さらに、アニメージュ文庫はアニメ文化との繋がりが強い文庫レーベルの性格上、視覚メディアと活字メディアに跨った作品展開・作品受容を促し、現代のメディア横断型コンテンツの発展にも寄与してきたと考えられる。本発表では、アニメージュ文庫が創刊された1980年代を中心にその実態と特徴を明らかにし、当時の児童文化・青少年文化、ならびに後のライトノベルに繋がっていく若年層向け小説の流れにおいて、どのように位置づけられるのかを考察していく。

ライトノベルの韓国語翻訳のあり方についての考察
―渡航のライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』を中心に

田 泰昊

韓国での日本文学の受容は、1990年代の村上春樹のヒットから増え始め、2000年代からは若者層を中心に高い人気を得るようになっている。そのうち、ライトノベルの部数の増加は特に目立つものであり、2008年には韓国で翻訳された日本の小説全体の約50%を占めるほどになった。ただし、ライトノベルの場合、出版元の多くが、マンガやアニメ関連の出版社で、他の日本文学の翻訳の様相とは異なる場合があると見られる。例えば、翻訳者が既存の文学作品の翻訳者と異なり、元マンガ翻訳者であったり、翻訳の経験は皆無だがマンガやアニメに詳しい人であるという理由で担当になったりするケースがある。このような状況は翻訳の質や具体的な翻訳のあり方にも影響を及ぼすと考えられる。ライトノベルの翻訳に関する研究はすでに2点(허경숙 2010; 김애연 2012)あるが、これらの研究はあくまでも韓国の通訳翻訳大学院で行われたもので、主に翻訳の誤りを指摘し、正しい翻訳の例を提示することに止まっていた。そこで本発表では渡航のライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』を中心に、実際の韓国語での翻訳がどのように行われているかを具体的に提示し、そこに見られる問題点について考察したい。

(以上、案内資料より引用)

【文責:山中】


【イベント】「怪異の時空」三部作刊行記念「怪異は語る」怪異怪談研究会(1/22)

2017/01/21

ライトノベル研究会のメンバーも参加されている怪異会談研究会は、昨年、「怪異の時空」三部作を青弓社から刊行しました。その記念イベントが2017年1月22日(日)16:00より、Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE で開催されます。

<Live Wire 告知より>

シリーズの監修を務めた一柳廣孝さんは、心霊や都市伝説などの怪異をベースにした文学研究者です。また、各巻の新進気鋭の編著者たちも登壇します。さらに、アンソロジスト・文芸評論家の東雅夫さんが途中から特別参加! 本シリーズで取り上げた、口承怪談、映画、落語、ラノベ、ゲームなど、様々な形で展開される「怪異表現のいま」に多角的に迫ります。

「怪異を語る」人々をフィールドワークした研究者たちは、その背景に何を見たか。「怪談」という装置が動くとき、語る/聞く人々の心の何を動かし、何を浮かび上がらせるのか。それはまさに、怪異「が」語る、21世紀の日本人の民俗的心性・集合的無意識の一つの断面ではないかと思われます。

怪談を愛好する人はもちろん、逆に不合理や怪異譚を忌み嫌う人にも楽しんでいただける、知的でスリリングなイベントになるはずです。

怪異を歩く (怪異の時空) 怪異を歩く (怪異の時空)
今井 秀和 大道 晴香 一柳 廣孝

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怪異を魅せる (怪異の時空) 怪異を魅せる (怪異の時空)
飯倉 義之 一柳 廣孝

青弓社 2016-12-01
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怪異とは誰か (怪異の時空) 怪異とは誰か (怪異の時空)
茂木 謙之介 一柳 廣孝

青弓社 2016-12-21
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[出演] 一柳廣孝 今井秀和  大道晴香  飯倉義之 茂木謙之介
[途中から特別参加] 東雅夫

[日時] 2017年1月22日(日) 開場・15:30 開始・16:00(約2時間を予定)

[会場] Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE
(東京都新宿区新宿5丁目12-1 新宿氷業ビル3F)
・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分

[料金] 1500円 (当日券500円up)

詳細はコチラまで。

【文責:山中】


【速報】「第2回ライトノベル・フロントライン大賞」の大賞作品決定!!

2016/12/19

大橋崇行・山中智省編著『ライトノベル・フロントライン3』(青弓社)の刊行に合わせて発表される「第2回ライトノベル・フロントライン大賞」。

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この賞は、毎年多数の作品が刊行されるライトノベルのなかから、ひとつでも多くの作品が読者の手に届き、ライトノベルを楽しむ機会が増えてくれたらという願いから創設されました。具体的には、既存の各種ランキングが取りこぼしがちな新人作家のデビュー作に注目し、商業成績に拠らず、作品としてのおもしろさをしっかり評価することを第一に考え、良質なライトノベルを再発見していきます。

第2回ライトノベル・フロントライン大賞
第2回大賞の選考対象作品は2015年1月1日~同年12月31日までに、ライトノベル研究会が指定するレーベルから刊行された新人作家のデビュー作です。詳細は12月25日発売予定の『ライトノベル・フロントライン3』誌上での発表となりますが、今回は特別に大賞作品のみ、本ブログにて先行発表します!!

【「第2回ライトノベル・フロントライン大賞」 大賞作品はこちら!! 】

<大賞>

助供珠樹[著] / 春夏冬ゆう[イラスト]
『あの夏、最後に見た打ち上げ花火は』 (ガガガ文庫)

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〈 書籍の内容 〉
彼女と出会った、忘れたくないあの夏の日
何もないのどかな田舎町・松乃に暮らす中学2年生の眞田寛樹は、幼なじみの三島桐子・親友の阿久津恒正らと、毎年変わることのない夏休みを過ごしていた。そんなある日、徹夜をしてしまった寛樹は熱中症で倒れてしまい、助けてくれた謎の美少女・伊藤ノアに恋心を抱くようになる。日本語をうまく理解することのできないノアのために寛樹は妹のなずなと一緒になって、自分たちが暮らす町を案内したりしながら、徐々に距離を縮めていく。そんな時、寛樹はノアに過去の記憶がなく、深海生物に似た奇妙な生き物と共に自身がよく通っている駄菓子屋・伊藤商店の庭に倒れていたところを発見されたという事実を知る。さらに謎の生物がしゃべる名前が、先日まで自分が読書感想文を書くために読んでいた小説の作者の本名だということがわかり、ますます混乱していく。ノアが記憶をなくしたまま不安な毎日を過ごしていると感じた寛樹は、彼女の記憶を取り戻すべく、さまざまな場所に彼女を連れて行ったり、小説内に書かれたことを調べたりしていくのだが・・・・・・。第9回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作品。中学生の男女が繰り広げる甘くせつないひと夏の青春グラフィティが登場。
(小学館HP ガガガ文庫『あの夏、最後に見た打ち上げ花火は』より)

第2回大賞は上記の通り、助供珠樹[著] / 春夏冬ゆう[イラスト] 『あの夏、最後に見た打ち上げ花火は』 (ガガガ文庫)に決定しました。なお、本大賞の選考プロセスや候補作品、受賞者インタビューなどを、12月25日発売予定の『ライトノベル・フロントライン3』に掲載します。ぜひお手に取ってご覧ください!!

ライトノベル・フロントライン3: 特集 第2回ライトノベル・フロントライン大賞はこれだ! ライトノベル・フロントライン3: 特集 第2回ライトノベル・フロントライン大賞はこれだ!
大橋 崇行 山中 智省

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あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫) あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫)
助供 珠樹 春夏冬ゆう

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【文責:山中】


【新刊小説】大橋崇行『レムリアの女神 La Diosa del Lemuria』(未知谷)

2016/09/22

ライトノベル研究会のメンバーである大橋崇行が、新刊の小説『レムリアの女神 La Diosa del Lemuria』を、未知谷から刊行します。9月25日の発売予定となります。
Amazonのページ→ こちら

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表紙カバーのデザインは、防人さん(pixiv:http://www.pixiv.net/member.php?id=211515 )です。
今回はいわゆるライトノベルではなく、書店では「文芸(SF、ファンタジー、ミステリなど)」に並ぶことが多いと思いますが、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
【文責:大橋】


『ライトノベル・フロントライン2』発売

2016/05/16

大橋崇行・山中智省編著『ライトノベル・フロントライン2』(青弓社)が刊行されました。

表紙

本誌は2015年10月に創刊され、いまや一大ジャンルへと成長したライトノベルを中心に、関連する様々なメディアの作品を対象とした批評や書評、作家インタビューなどを掲載しています。

第2号の特集では、ライトノベル市場の変化、ウェブ発の作品の拡大、インターネットを介した作家と読者のコミュニケーションの活発化など、今日的なメディア状況を踏まえながら、イチゼロ年代(2010年代)のライトノベルをめぐる動向に迫ります。話題沸騰のテレビアニメ『灰と幻想のグリムガル』の原作者・十文字青へのインタビューをはじめ、ヤマハの歌声合成技術「VOCALOID」を用いた楽曲をイメージして制作される「ボカロ小説」や、近年勢力を増している「ライト文芸」に関する論考、中国・韓国のライトノベル事情のレポートなどを収め、さらにイチゼロ年代の個性豊かな作品もレビューしています。

また、小特集は「児童文学とライトノベルのあいだ」と題して、ライトノベルに接近しつつある児童向けエンターテインメントの現状と、その実態に注目。『ミステリアス・セブンス』の著者・如月かずさへのインタビューや、『西の善き魔女』『RDGレッドデータガール』などで知られる作家・荻原規子、児童文庫、「朝の読書」運動に関する論考から、児童文学の新たな可能性を探ります。

詳細な目次情報はコチラ

ぜひお手に取ってご覧下さい!!

ライトノベル・フロントライン2: 特集 イチゼロ年代のライトノベル ライトノベル・フロントライン2: 特集 イチゼロ年代のライトノベル
大橋 崇行 山中 智省

青弓社 2016-05-16
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【文責:山中】


「第1回ライトノベル・フロントライン大賞」発表!!

2015/10/15

大橋崇行・山中智省編著『ライトノベル・フロントライン1』(青弓社)の刊行に合わせて発表された「第1回ライトノベル・フロントライン大賞」。

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この賞は、毎年多数の作品が刊行されるライトノベルのなかから、ひとつでも多くの作品が読者の手に届き、ライトノベルを楽しむ機会が増えてくれたらという願いから創設されました。具体的には、既存の各種ランキングが取りこぼしがちな新人作家のデビュー作に注目し、商業成績に拠らず、作品としてのおもしろさをしっかり評価することを第一に考え、良質なライトノベルを再発見していきます。

第1回ライトノベル・フロントライン大賞
開催は年1回。『ライトノベル・フロントライン』誌上にて選考結果を発表します。第1回大賞の選考対象作品は2014年1月1日~同年12月31日までに、ライトノベル研究会が指定するレーベルから刊行された新人作家のデビュー作です。最終選考はタニグチリウイチ(書評家)、倉本さおり(ライター)、大橋崇行・山中智省(ともに大学教員・ライトノベル研究会メンバー)の4名が担当。なお、選考基準の詳細は『ライトノベル・フロントライン1』をご参照下さい。

当記事では、第1回大賞の結果を速報でお知らせすると同時に残念ながら今回は受賞できなかった作品のなかから、ライトノベル研究会メンバーがピックアップした注目作品(『ライトノベル・フロントライン1』未掲載分)を紹介します

どうか当記事と「ライトノベル・フロントライン大賞」が、普段からライトノベルを読んでいる人はもちろん、あまり読まない人にとっても、「こんな作品があったのか!!」という新たな発見のきっかけにならんことを!!

【「第1回ライトノベル・フロントライン大賞」結果発表 】

大賞:境田吉孝『夏の終わりとリセット彼女』(ガガガ文庫)

夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫) 夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)
境田 吉孝 植田 亮小学館 2014-05-20
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特別賞:高橋祐一『星降る夜は社畜を殴れ』(角川スニーカー文庫)

星降る夜は社畜を殴れ (角川スニーカー文庫) 星降る夜は社畜を殴れ (角川スニーカー文庫)
高橋 祐一 霜月 えいとKADOKAWA/角川書店 2014-07-31
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特別賞:青葉優一『王手桂香取り!』(電撃文庫)

王手桂香取り! (電撃文庫) 王手桂香取り! (電撃文庫)
青葉 優一 ヤスKADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-02-08
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*最終選考に残った他作品*

佐々山プラス『ハコニワフールズ ―精霊、火炎放射魔、古い顔―』(電撃文庫)

ハコニワフールズ ―精霊、火炎放射魔、古い顔― (電撃文庫) ハコニワフールズ ―精霊、火炎放射魔、古い顔― (電撃文庫)
佐々山プラス えびらKADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-09-10
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三国陣『偽神戦記 首輪姫の戴冠』(スーパーダッシュ文庫)

偽神戦記 首輪姫の戴冠 (集英社スーパーダッシュ文庫) 偽神戦記 首輪姫の戴冠 (集英社スーパーダッシュ文庫)
三国 陣 なかばやし 黎集英社 2014-04-25
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アズミ『給食争奪戦』(電撃文庫)

給食争奪戦 (電撃文庫) 給食争奪戦 (電撃文庫)
アズミ すきまKADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-06-10
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最終選考の様子や各作品の選評については、現在発売中の『ライトノベル・フロントライン1』に詳しく掲載しています。ぜひお手に取ってご覧下さい!!

【ライトノベル研究会メンバーのピックアップ作品】

残念ながら今回は受賞できなかった作品のなかから、ライトノベル研究会メンバーがピックアップした注目作品(『ライトノベル・フロントライン1』未掲載分)を選評とともに紹介します。

緋色友架『キルミルカタル 眼ノ宮瞳子の眼球探し』(ファミ通文庫)
魔眼という設定や猟奇的な語彙などに見られる中二っぽさ、衒学的で古めかしい用語や文字遊びなど、ラノベらしさは随所にあるが、中でも本作の特徴はそれらのベースがグロテスクよりなところにある。ストーリー上の起伏は敵とのバトルを通じてなされているが、グロテスクなところからはじまってどこにジャンプしてどこに着地するか、という点でのメリハリは弱い(なお、エピローグでは日常への帰還という位置づけが示されてはいる)。作者サイドの教養の高さは伺えるが、言葉をつなげることに汲々として、あそびがやや不足しているようにも思われる。用語等をネタとして、確信犯的に扱えれば更なる向上が見込まれると考える。(樋渡)

キルミルカタル 眼ノ宮瞳子の眼球探し (ファミ通文庫) キルミルカタル 眼ノ宮瞳子の眼球探し (ファミ通文庫)
緋色友架 ukyo_rstKADOKAWA/エンターブレイン 2014-01-30
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高瀬ききゆ『神武不殺の剣戟士 アクノススメ』(ファミ通文庫)
帝都剣術学園もの。自称悪党の主人公が、結果的に善行をしまくる様子が笑える。登場キャラクターの輪郭は鮮明、披露される剣術の知識も興味深い。ただし敵の行う殺戮が無意味に残虐。2巻で完結なのは惜しい。(久米)

神武不殺の剣戟士 アクノススメ (ファミ通文庫) 神武不殺の剣戟士 アクノススメ (ファミ通文庫)
高瀬ききゆ 有坂あこKADOKAWA/エンターブレイン 2014-02-28
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悠木美羽『お嬢様にしかできない職業 公爵様の婚活事情』(ビーズログ文庫)
宮廷専門の情報屋を営むヒロインが男勝り且つはねっかえりなので、「お嬢様」というタイトルで清楚系・ほんわか系のヒロイン像を思い描いた読者はまず戸惑うだろう。また「お嬢様」が中心人物と思いきや、語り手が男性主人公の側に立つことが多いのも特徴的。ヒロインの職業を除けばそこまで目新しい設定等はないのだが、テンポよくさらっと読めるライトさは評価出来る。分かりやすさという点では、低年齢層の読者にも向いている作品ではないだろうか。(山中)

お嬢様にしかできない職業 -公爵様の婚活事情- (ビーズログ文庫) お嬢様にしかできない職業 -公爵様の婚活事情- (ビーズログ文庫)
悠木美羽KADOKAWA/エンターブレイン 2014-03-15
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中村学『アクアノート・クロニクル』(ファミ通文庫)
地球が水に覆われ、人類が海中のシェルターに閉じ込められた世界。少年は、再び青空を取り戻すための、世界規模の争いに巻き込まれていく。壮大で緻密な世界観にもとづくアドベンチャーロマン。1巻だけで終わらせるのはもったいない。続刊、熱望!(一柳)

アクアノート・クロニクル (ファミ通文庫) アクアノート・クロニクル (ファミ通文庫)
中村学 こずみっくKADOKAWA/エンターブレイン 2014-03-29
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望月唯一『サービス&バトラー』(講談社ラノベ文庫)
ケガでテニスをやめざるを得なかった特待生の主人公が、素人のお嬢様の執事となってテニスを教える話。ストーリーのテンポもよく、展開がわかりやすい。ラノベでは表現しづらいと言われるスポーツものだが、テニスシーンもスピード感にあふれていて、特に主人公とお嬢様の絆を示すワンシーンは見ものである。(杉本)

サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫) サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫)
望月 唯一 成沢 空講談社 2014-04-02
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霧崎雀『血潮の色に咲く花は』(ガガガ文庫)
幻想的であり重厚な文体が魅力的なダークファンタジー。人間に寄生し記憶を奪うかわりに、頭に美しい花を咲かせる等の設定が、私たちの聖穢観念を問い直す。従来の「共感」という読み方にはそぐわない登場人物達にも興味をひかれた。(犬亦)

血潮の色に咲く花は (ガガガ文庫) 血潮の色に咲く花は (ガガガ文庫)
霧崎 雀 Refeia小学館 2014-05-20
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当真伊純『八百万戀歌~やまといつくし、こひせよをとめ~』(ルルル文庫)
神様と人間が共存する古代日本を舞台とした物語。ギャグ、恋愛、謎解きを織り込みながら、ヒロインの成長譚が展開される。女性の描き分けがやや弱いが、人間味豊かなキャラクター設定が魅力的。(山口)

八百万戀歌~やまといつくし、こひせよをとめ~ (ルルル文庫) 八百万戀歌~やまといつくし、こひせよをとめ~ (ルルル文庫)
当真 伊純 くまの 柚子小学館 2014-06-26
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長田信織『ガンズ・アンド・マジック 黒き鎧と幼き女王』(電撃文庫)
ヒロインのイーリス、全身を装甲で覆ったレンをはじめとして、人物描写がとても丁寧になされている、銃と魔法で魔獣と戦うという設定は目新しいものではないが、人物・アイテムの行動・心情描写の丁寧さが作品世界に安定感を与えている。(大島)

ガンズ・アンド・マジック ―黒き鎧と幼き女王― (電撃文庫) ガンズ・アンド・マジック ―黒き鎧と幼き女王― (電撃文庫)
長田 信織 ネコメガネKADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-07-10
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千羽十訊『神楽剣舞のエアリアル』(GA文庫)
物語としてはまとまっているので、公募制新人賞で一次選考、二次選考と残っていく作品らしいといえば、そのようにいえるかもしれません。一方で、キャラクターの書き込みや全体としての物語の構造化にはやや疑問点があり、もう少し作り込む必要があった気がするので、次点としました。(大橋)

神楽剣舞のエアリアル (GA文庫) 神楽剣舞のエアリアル (GA文庫)
千羽 十訊 むつみ まさとSBクリエイティブ 2014-07-14
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語部マサユキ『異国の軍師の救国奇譚』(角川スニーカー文庫)
ややテンションの高すぎる主人公と時折見られるすっきりしない表現、その一方で構築感のあるストーリー展開といやみのないキャラクター(これは挿絵の力も大きい)――この作品の特徴を一言で説明すれば以上のようになるだろう。だが、この作品の核心は、対象を自分の文脈に引きつける現代的なセンスの向こう側に垣間見える「他者」の痕跡にあるのかもしれない。それはまだかすかな予兆のようなものでしかないが。(井上)

異界の軍師の救国奇譚 (角川スニーカー文庫) 異界の軍師の救国奇譚 (角川スニーカー文庫)
語部 マサユキ 明星 かがよKADOKAWA/角川書店 2014-07-31
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割石裂『100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない』(富士見ファンタジア文庫)
ダンジョン(迷宮)の中で死んだ「冒険者」は、「回収屋」によって拾われ、復活して冒険を繰り返す。あまりにも簡単に死にすぎる天然気味の冒険者のヒロインと、彼女専属の回収屋にされてしまった男の子のコメディー。そこに、様々な女性が絡むという定番の人物配置。ヤマ場の処理が少し物足りない。(太田)

100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない (富士見ファンタジア文庫) 100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない (富士見ファンタジア文庫)
割石 裂 ゆーぽん(ニトロプラス)KADOKAWA/富士見書房 2014-08-20
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只野新人『Vermillion 朱き強弓のエトランジェ』(このライトノベルがすごい!文庫)
騎射の達人にして廃プレイヤー・ケイと相棒のロシア人“NINJA”アンドレイは、硬派なゲームシステムで知られる【DEMONDAL】プレイ中、そっくりの異世界に転移されてしまう……。物語の序盤ということで盛り上がりに欠けるものの、風景や心情の描写は丁寧であり、今後が期待される。(山川)

Vermillion 朱き強弓のエトランジェ (このライトノベルがすごい! 文庫) Vermillion 朱き強弓のエトランジェ (このライトノベルがすごい! 文庫)
只野 新人 フルーツパンチ宝島社 2014-09-10
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未味なり太『イケニエハッピートリガー』(MF文庫J)
人類の幸福のために殺さなければならない存在として選ばれた「イケニエ」の少女、しかし殺す方法は彼女を「幸せ」にすることだけ、という矛盾を孕んだ設定が、少女の命を狙う側/守る側双方の葛藤を引き起こし、波乱含みの物語と切迫した心理ドラマを駆動する。二巻での物語の着地点も評価したい。(樋口)

イケニエハッピートリガー (MF文庫J) イケニエハッピートリガー (MF文庫J)
未味なり太 らいかKADOKAWA/メディアファクトリー 2014-11-21
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しきや『クロス†ウィザード 魔術都市と偽りの仮面』(HJ文庫)
仮面の男!カッコいい技!謎めいた都市!いわゆる中二病要素が満載で良くも悪くも印象に残る作品。俺はこれが書きたいんだという熱量が伝わってくる。(松永)

クロス†ウィザード -魔術都市と偽りの仮面- (HJ文庫) クロス†ウィザード -魔術都市と偽りの仮面- (HJ文庫)
しきや 深井涼介ホビージャパン 2014-11-28
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~『ライトノベル・フロントライン1』について~

ライトノベル・フロントライン1: 特集 第1回ライトノベル・フロントライン大賞発表! ライトノベル・フロントライン1: 特集 第1回ライトノベル・フロントライン大賞発表!
大橋 崇行 山中 智省青弓社 2015-10-17
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創刊号の特集では、第1回ライトノベル・フロントライン大賞を発表する。2014年の1年間に刊行された新人作家の新作を研究会会員が確認し、「質」を重視した選考を重ねて大賞候補作を選出。良質な作品を大賞として、エッジの効いた作品を特別賞として紹介する。また小特集では、氷室冴子や新井素子らが活躍した1980年代の少女小説を、作家・久美沙織の評論と複数の批評で検証する。ラノベのアニメ化・コミック化作品紹介や連載も充実させた、新たにラノベ・ワールドへ打って出る『ラノフロ』創刊号、発進!

【文責:山中】


【刊行間近】大橋崇行・山中智省編著『ライトノベル・フロントライン1』(青弓社)

2015/10/07

いよいよ来週刊行!!どうぞよろしくお願い致します。
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978-4-7872-9231-5

【文責:山中】


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