アメリカのヤングアダルト小説(3)

ということで、私が手に取ったアメリカの最近のヤングアダルト小説を何本か紹介してきましたが、私がジャケ買いした本ばかりですから、ヤングアダルト小説の全体を見通すというには不向きなリストです。そこで、全米図書館協会の下部組織であるYALSA (ヤングアダルト図書館サービス協会)が発表している2015年度のフィクション部門のBest10リストの本を並べてみることにしました。実は、前々回に紹介した『僕とアールと死んでいく女の子』はこの2013年のリストのトップに上げられていた作品でもあります。全部読むのは無理だったんで、本をざっと見た上でブックレビューなどから集めた情報で紹介します:

carnival at Bray

“The Carnival at Bray” (『ブレイのカーニバル』)By Jessie Ann Foley. Elephant Rock,

シカゴからアイルランドに引っ越してきた16歳のマギーが、初恋と死の衝撃に晒され、ニルバーナのローマ・コンサートを観て死のうとするも、そこから立ち直る、、、グランジ・ロックをバックグラウンドにしたかなり、かっちりとした青春小説みたいです。途中、手書きのメモ書きが挿入されたり、本文に手書きのアンダーラインが加えられたりしています。

Cross over

“The Crossover” (クロス・バー)By Kwame Alexander. Houghton,

アフリカ系アメリカ人の双子を主人公に、バスケットボールと親子関係や兄弟愛をテーマにした物語なんですが、全編、詩だけで構成されているという作品。ひょっとしたら、ラップで歌えるように出来ているのかもしれません。

Cross over verse

 

Gospel winter

“The Gospel of Winter” (冬のゴスペル)By Brendan Kiely. Simon & Schuster/Margaret K. McElderry,

崩壊家庭に育ち、信頼した神父様にも裏切られた少年が愛と信頼を取り戻すまでの物語。概要を読む限りでは、社会派っぽいですね。

Give you the sun

“I’ll Give You the Sun” (君に太陽をあげよう)By Jandy Nelson. Dial

双子の姉弟ジュードとノアが、13歳から16歳までの時間を前後しながら交互に物語ることにより、少年期のすれ違いや、愛と信頼についてドラマティカルに描いているそうです。

Jagaby

“Jackaby” (ジャカビー)By William Ritter. Algonquin

19世紀末のニューイングランドを舞台に、連続殺人事件を巡って繰り広げられるシャーロック・ホームズを彷彿とさせる推理劇、、、である模様。

Noggin

“Noggin” (『アタマ』)By John Corey Whaley. Atheneum

白血病で死んだ16歳のトラビスは、頭を切り離されて冷凍保存される。5年後に、ドナーの身体に頭を移植されて生き返る。しかし、死の床でゲイであることを告白してきた親友のキールは引きこもっており、ガールフレンドだったケイトは別の男と婚約していて、トラビスは状況を引っくり返すべく奮闘を始める、、、レビューには”character-driven” 小説とあり、キャラクター小説的な要素が強いようです。

Owen

“The Story of Owen: Dragon Slayer of Trondheim”(『オウエン物語:トロンドヘイムの竜退治』) By E. K. Johnston. Carolrhoda/Lab

タイトルと表紙に描かれた現代風のデイバックを背負った青年から大体想像はつくと思いますがファンタジー。異世界ファンタジーではあるもののカナダが舞台で、町々を襲う竜を退治することを家業にした家に生まれた、オーエンという少年が主人公。

Vango

“Vango: between sky and earth” (『ヴァンゴ 空と大地の間で』)By Timothee de Fombelle. Candlewick

両大戦間期のヨーロッパで、殺人容疑をかけられた神学生ヴァンゴが、容疑を晴らし、自分の出生の秘密を解き明かすために、船や列車そして飛行船を駆使してヨーロッパの中を縦横無尽に逃げ回る冒険活劇。

We are Liars

“We Were Liars” (『僕達は嘘つき』)By E. Lockhart. Delacorte

ケープコッドの私有島で毎年の夏休みを過ごしてきたケーデンスは、15歳の時に島で起きたことがどうしても思い出せず、霞がかかった記憶と偏頭痛と戦いながら、真相を探ろうとするというミステリー小説。

young elite

“The Young Elites” (『ヤング・エリート』)By Marie Lu. Putnam

熱病の後、異能力を身につけた少女は家名を傷つけるものとして家から追放されるが、そういった異能の者たちを危険な「ヤング・エリート」として探し出し、殺そうと目論む集団と、それに対抗する「ヤング・エリート」の集団が対抗しているのだった、、、というような異世界ファンタジー。

 

と、まあ、こんな具合です。いかにも青春小説っぽいのや、異世界ファンタジー、前時代を舞台にした冒険活劇、バラエティーに富んでいて、日本のライトノベルに近そうなのは”Nogging”(『アタマ』)ぐらいでしょうか。まあ、他の年度のリストを見れば、前々回に取り上げた『僕とアールと死んでいく女の子』(2013年度リスト)みたいなものもありますし、2010年度には”The Reformed Vampire Support Group” (『ヴァンパイア更生サポート施設』)Catherine Jinks, Harcourt/ Houghton Mifflin Harcourt. 2009なんて作品がありました。もう人間の血を吸わないことを決意して更生しようとしている吸血鬼の自助グループを描いたもので、アメリカの女の子に大人気のヴァンパイア小説を、アルコールやドラッグ中毒患者が作る自助グループのイメージを使ってパロディに仕立て上げたものです。そのように、日本のライトノベルに近い小説は、ちょこちょこと入ってきてはいるようです。

もし、日本のどこかの団体が「10代の読者のためのベストリスト」を作った時、ライトノベルから何冊入るだろうということを考えて貰えば、YALSAのトップテンリストにおいて、その種の小説はそこそこ健闘しているように思えるのですが、いかがでしょうか。

この他、amazonのヤングアダルトのカテゴリーでの売れ筋リストからも、何冊か紹介してみようと思ったのですが、次回に回すことにします。

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