海外ライトノベル翻訳事情 おわり

ライトノベル研究会のブログを占有するかのような連載を続けてしまいました。申し訳ありません。

元々は、「『涼宮ハルヒの驚愕』の世界同時発売」という角川のキャンペーンを見た時に、何処と何処で発売されるんだろうと思ったところからスタートした話でした。「13カ国同時発売」なんて話もまことしやかに流布していましたが、どうもハッタリ臭い。その時点でハルヒは英・仏・西・韓・台・中で翻訳されていていることだけは分かったので、調査結果をメーリングリストに流したら、一柳先生が「『ライトノベルの世界戦略』みたいな題で誰か書きませんか」と書いてきました。英語への翻訳事例を調べるくらいなら出来そうだったので、英語翻訳本をamazonで買い漁り始めたのですが、それが面白くなってフランス語、ドイツ語、韓国語、中国語、スペイン語、イタリア語と止めも無く拡大してしまったというのが、ことの経緯になります。

各国語に翻訳された『涼宮ハルヒ』
(『涼宮ハルヒ』の各国語訳。英語、フランス語、イタリア語、スペイン語、韓国語、中国語(繁体、簡体))

調査していく中で、まず眼を引いたのは「アメリカでライトノベル翻訳は売れていない」らしいということでした。これがフランスになると、さらに酷くて壊滅状態です。マンガやアニメがアメリカやフランスで人気を博しているというマスコミ報道にさんざん触れてきたせいなのか、どうせライトノベルもその勢いに乗って売れているんだろうと思っていたのですが、そういう訳でも無さそうなのです。

ライトノベルは「字で書くマンガ」だとする表現もあるほどに、マンガに近いコンテンツだと我々は考えます。だから、日本のマンガを受け入れていれば、ライトノベルもそのまま受け入れられるだろう。そんな風に考えていたのですが、現実はそうはなっていません。日本マンガの独立系の翻訳会社の試行錯誤の末に、ようやく大手出版社系列でライトノベル翻訳がぼちぼち成功しつつあるのが現状です。

その一方で、壁など無きが如き勢いで日本のライトノベルは韓国と台湾に流れ込み、中国本土にも進攻しています。この差は何なのか。

もちろん、国によって文化的あるいは歴史的な背景が違うのですから、差もあって当然でしょう。ただ、その背景を丁寧に見ていけばライトノベルの受け入れ方の差異も見えてこようし、そういう作業を通じて「そもそもライトノベルとは何だ」という問題にも、今までとは違う光を当てる事も出来るのではないか。そんな風に考えて、手に入れたライトノベルの現物を眺めながら、とりとめも無くあれやこれやと書き継いでみました。

ただし、当たり前の話ですが、読めない言語で書かれた本をいくら眺めた所で分かる事はたかが知れており、その国の若年者向け文芸の歴史だとか現状を知らなければ言える事などほとんど無いのです。「俺って、不毛な事をしているなぁ」と自らを省みている日々が続きました。それでも、ここで書いてきた事が、ライトノベルという事象を考える上での、何かのヒントになればと思っています。


(様々な言語に翻訳された日本のライトノベル

(太田)

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海外ライトノベル翻訳事情 おわり への1件のフィードバック

  1. Mi-san より:

    頭の中で考えていたので、検索してみたら興味深い記事を見つけたので、一通り下からざっと読ませていただきました。
    自分ももちろん、海外でラノベをだせば、売れるのではないだろうか?と考えていたのですが、文化の違い等から、売れ行きも芳しくないのですね…

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