海外ライトノベル翻訳事情 中国本土編(5)

何度か書いてきたように、台湾編および、中国本土編の調査にあたっては百元籠羊さん(http://blog.livedoor.jp/kashikou/)のお世話になっているのですが、先日百元さんからメールが来ました。このブログ連載記事について「中国オタクの知り合いと話をした」のだそうで、いろいろご指摘を受けました。

正直言って、私自身、中国本土編(3)(4)は「好き勝手な推測で書きすぎたかな」と思わっていたところでした。ああいうのは、その国の文化をよく知っている人間が書くべき事ですし、そもそも外国人が断定めいた書き方をするのは不遜というものでしょう。すっかり反省しておりますが、ともかくも、以下に百元籠羊さんからの指摘をお伝えしておきます。

まず、クィ・ヨニ『あいつ、かっこよかった』は、さすがにライトノベルの範疇に入らんだろうという指摘を受けました。少なくとも現在の中国では、韓流少女小説は「軽文学」に入れていないというのです。これは、私も山下論文を読みながら考え込んだ所でした。あの論文では、
・女子高生の一人称会話体で最後まで書かれている
・ビジュアルを重視したお洒落な装幀が受けた
・ 商業的に大成功した
ことなどから、「軽文学」のメルクマークとなった作品だとしているのですが、今の「軽文学=ライトノベル」の読者と重なっていないように、私には思えました。(で、言い訳がましく、そういうことも(3)では書きました。)百元さんも、それは「別系統」だとしています。台湾の「言情小説」と呼ばれる恋愛小説が90年代から本土でも人気になっており、そのファン層がある時期に韓流に流れたのであって、それとアニメやマンガのファン層が受け入れた「軽小説」は系統が違うのだと言うのです。

そして、中国本土の少女小説のリソースは、まだまだ小さいので、「軽小説」に投入されているのは香港や台湾のリソースなのでは無いだろうかというご指摘もいただきました。そもそも「中国本土のライトノベル市場はまだ形成されていない」のだそうです。

このあたりは、私も議論してみたい点は多々あるのですが、話が込み入ってくるのと、確たる資料やデーターを持ち合わせていないので、止めておきます。ただ、中国本土の話は、聞けば聞く程面白いですね。日本からの単純な文化輸出の話ではないのです。

それから百元さんの話では、日本のそっち方面の小説で最初に人気になったのは『銀河英雄伝説』だとのことでした。古参の濃いオタクには、これにやられてしまった人が結構伊多いのだとか。しかし、概してライトノベルは中国であまり見向きされないジャンルだったそうです。流れが変わったのは、「ハルヒ」「シャナ」「半分の月がのぼる空」あたりからで、「中国のラノベ事情に関しては、「ハルヒ」以前と以後で明確に空気もファンの層の厚さも変わっています」とのことでした。

貴重な証言として、ここに記しておきます。
(報告:太田)

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