ラノベ史探訪(14)-『氷菓』とスニーカー・ミステリ倶楽部と

本日(3/2)、4月から放送が開始されるTVアニメ『氷菓』のオフィシャルサイトがオープンしました。制作があの京都アニメーションということもあり、4月放送開始のアニメのなかでも期待されている作品のひとつです。

TVアニメ「氷菓」京アニティザーサイト | 京都アニメーション
TVアニメ「氷菓」オフィシャルサイト

さて、すでにご存知の方も多いと思われますが、TVアニメ『氷菓』はミステリー作家として知られる米澤穂信氏のデビュー作であり、「〈古典部〉シリーズ」の第一作となる『氷菓』を原作としています。この作品は第5回角川学園小説大賞(2001年)のヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、角川スニーカー文庫の「スニーカー・ミステリ倶楽部」の初期ラインナップの一冊として刊行されました。

(『氷菓』 角川スニーカー文庫 2001年』)

「え?こんな表紙の『氷菓』、書店にあったっけ?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。おそらく現在書店で手に入る『氷菓』は下の角川文庫版です。どうやらスニーカー・ミステリ倶楽部の成績が振るわず短命に終わったために、角川文庫から出し直すことになったようですね。

(『氷菓』 角川文庫 2006年)

「〈古典部〉シリーズ」の第二作にあたる『愚者のエンドロール』まではスニーカー・ミステリ倶楽部で刊行されていたのですが、それ以降は角川書店の単行本か角川文庫に移っています。そのため上の表紙(カバーイラスト:上杉久代 / カバーデザイン:岩郷重力+WONDER WORKZ)の『氷菓』については、中古書店などで見つけるしかないと思われます。

(『愚者のエンドロール』 角川スニーカー文庫 2002年』)

ちなみに『氷菓』と一緒に刊行された作品ラインナップには、スニーカー・ミステリ倶楽部の名の通り、『ミステリー・アンソロジーⅠ 名探偵はここにいる』、『幽霊は行方不明 Dear My Ghost 』、『匣庭の偶殺魔』、『ダミーフェイス』などのミステリ作品が顔をそろえていました。これらの書影をAmazonで確認すると、表紙のデザインは上部にイラスト、中央に英字表記のタイトル、下部が黒で統一されています。一般文芸読者が手に取れるよう意識したためか、表紙イラストもそこまで派手なものはなく、全体として落ち着いた感じでまとまっている印象です。

名探偵は、ここにいる―ミステリ・アンソロジー〈1〉 名探偵は、ここにいる―ミステリ・アンソロジー〈1〉
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幽霊は行方不明―Dear My Ghost (角川スニーカー文庫) 幽霊は行方不明―Dear My Ghost (角川スニーカー文庫)
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私も全ての作品には目を通せていませんが、手にする機会があればぜひ読んでみたいと思っています。せっかくなので国立国会図書館に所蔵がないか調べてみましたが(検索キーワード:スニーカー・ミステリ倶楽部)、『氷菓』を含む6作品しかないようです。もっとあるはずなんですが…。どの時期にどれだけ出ていたのか、それから(すでにどこかで指摘されているような気がしますが)同時期に刊行されていた富士見ミステリー文庫との関係についても少し調べてみる必要がありそうです。

ところで、まったく話は変わるのですが…上で紹介した『氷菓』(スニーカー文庫版)の表紙で、非常に不遇な扱いを受けている登場人物がいることにお気づきでしょうか。もう一度よ~く表紙を確認してみてください。

不幸にも、上半身ぶった切り状態で登場しているこの人物、一体誰なのか?服装から見て明らかに女子です。古典部の主要メンバーは当初4人、折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花。このうち千反田と摩耶花の身体的特徴を考えるとおそらくは…。答えは中表紙に配された表紙の背景違いイラストを見ると分かります。

(『氷菓』中表紙)

まあ、間違いなく摩耶花でしょう。このぶった切り状態はちょっとかわいそうな気もしますが、タイトルを入れる関係上やむを得ずやってしまったのか、それとも敢えてこうしたのか…真実は藪の中ですね。もしも今回のアニメ化を機に新装版が出るようなことがあれば、今度はちゃんと全身入れてあげてほしいなと個人的には思っています。

≪追記≫
上で「まあ、間違いなく摩耶花でしょう。」と最初は自信たっぷりに書いていましたが、よくよく表情や仕草を見ると、これって千反田だったかもと思い直したり…。

【文責:山中】

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One Response to ラノベ史探訪(14)-『氷菓』とスニーカー・ミステリ倶楽部と

  1. […] ところで以前のエントリー(ラノベ史探訪(14)-『氷菓』とスニーカー・ミステリ倶楽部と)でも紹介させて頂いたのですが、「〈古典部〉シリーズ」のうち『氷菓』と『愚者のエンドロール』の2作までは、角川スニーカー文庫の「スニーカー・ミステリ倶楽部」で刊行されていました(後に角川文庫で再出版)。この2作については、現在書店に並んでいる角川文庫版とは装丁が大きく異なります。 […]

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