ラノベ研の活動がまた広がっています(2)

先日の研究会に、韓国からの留学生、ジョン・テホさんが参加して下さったことは、すでに当ブログでもお伝えしていました。
そのジョンさんがライトノベル研究会の感想を自身のブログに綴ったところ、韓国のラノベファンの一部で話題となり、
それに関連する記事が韓国のサブカル関連のネット雑誌(www.noxnlux.com)に掲載されたそうです。

ジョンさん及び同雑誌の許可を得て、その記事の翻訳を以下に示します。なお、韓国語(と日本語)に長ける
メンバーがいなかったため、翻訳はGoogleとYahooの機械翻訳を山口が突き合わせて整理し、
ジョンさんが校正を入れる形で行いました。

「ライトノベル研究―何を、どうやってやるのか?」

ライトノベル市場が質的/量的に膨張し、元々のファンだけでなく、
その他多くの人にまでライトノベルへの関心が高まっている。
この現象は、時代の ニーズによって、資本主義社会でも
禁断の領域といわれる
学界にまで及んでいる。
また、ライトノベルを単なる趣味のレベルではなく、
真剣に学究する対象としてとらえ、勉強しようとする人もでてきている。

<ライトノベル研究の意味>

最近、「ライトノベル研究会の簡単な感想」をブログで紹介し、
ネチズン(引用者注:ネチズン(netizen)はnetworkとcitizenの合成語で、
ネットでの世論を意味することもありますが、一般的に韓国ではただ
「ネットユーザー」の意味で使われています)の 間で話題となった
ジョン・テホ氏は、そのような“研究としてのライトノベル”の最前線にいる
韓国人である。彼は現在、中央大学校大学院日語日文学科
日本文化専攻修士課程を終えて、東京大学大学院学際情報学部の
研究生課程で研究を続けている。彼は日本のライトノベルの研究について、
本来のファン層よりもむしろ、学界内部に新鮮な衝撃を与えることが
できると言う。”他の何よりもこんなのが研究テーマになることができると
いうことを見せるの が一番大きいです。同時に大変でもあります。
これは、学問の幅を広げるという点で、学界に役立つと言えますね。”

それなら、ライトノベル研究は研究者の中でどのように成立しているのか。
ライトノベルの最新動向について、旧来の哲学的で難解な話をするように
感じるが、実際にはそうではないようだ。ジョン・テホ氏はこれを
「研究者の学問的な下地」に応じて変わると説明する。“一度面白い作品 を
読むと、ただ面白い作品を読むのを超えて、ライトノベルの話が人気になる
理由や、それを取り巻く社会的背景を考えるようになるでしょう。”
これはつまり、自分が大学で学んだ学 問の土台の上で、
ライトノベルに対する研究にアプローチしていくということだ。

図題:ライトノベル研究会にて「僕は友達が少ない」に登場する
「リア充」と「友達」に関する発表。
この場合、伝統的な文学の理論で いう「近代的自我」
という学問的なベースの上で議論が 繰り広げられていると理解できる。

し かし、ライトノベルが企画され消費される場と、学界の間の影響関係については、
別の問題であるかもしれない。ジョン・テホ氏は研究者とライトノ ベルの(消費される)
場の関係については回答を保留しながらこう話す。“ファンへの影響は、正直なところ
未知数です。もちろんライトノベルに関心 のある読者なら、このような論文にも
関心をもってアプローチしますが、それほど多いとは思っていません。”

<韓国の学界の現状>

ノックスアンドルックスの企画諮問委員でもあるイチャンゴン氏は現在、
韓国外国語大学校文化コンテンツの大学院でラ イトノベルをはじめとする
様々 な現象を研究している。 彼は現在、韓国の学界ではライトノベルを
研究するのは二ヶ所程度であると説明する。”主に文化コンテンツ学科と
日文科でに研究されていますが、博士論文が なく、主に修士論文の
レベルで研究が行われており、実質的な研究成果とすべきことが不十分な
状況です。文学界では今のところは慎重にアプローチし ている状況ですが、
文化コンテンツ学科やマンガ学となどでは最近かなり活発に論議が成り立っています.”
研究が始まった段階にあるため、日本で行われた先行研究を韓国に紹介する
程度で満足している状況だということも付け加えた。
イチャンゴン氏によると、現在 韓国の学界ではまだ、「ライトノベルとは
日本から輸入され生成された一種の流行小説のひとつ」程度に扱っている
のが実情だ。

しかし、私たちの学界でもライトノベル研究の意義が徐々に説得力を得ている。
“最も保守的な学者たちでさえ、ライトノベルが持つ経済的価値を無視できない
状況に来たんですが、これはすぐ、学者にライトノベルの研究を要請する
時代の声になるでしょう。”

図題:“ロードス島戦記”リプレイが最初に連載されたコムピュチク86年9月号。
研究の基本は、正確で社会的資料と統計に基づいている。
しかし韓国は、まだこの部分の整理がされていない事がとても多い。

“ライトノベル研究はどのように?”

もしそうなら、国内(引用者注:韓国内の意味)でライトノベル研究を進めるには、
どのようにすればよ いのか。日本はライトノベルの発祥地であるため、
市場が生まれた時点から今まで、きちんと蓄積されてきた膨大なデータベースがある。
しかし国内では資料を多く閲覧するのは容易ではない。

イ チャンゴン氏は論文の信憑性を得るための参考にするに値した
先行論文自体を見つける事が難しいと吐露する。“いわゆる学問的な信憑性のある
学術資料を探すのが、現在、国内では非常に困難なため、必然的に自らの研究資料を
作成するか、似たような形式の他の研究を参照する必要があり、
どちら も無理が続くでしょう。”結局韓国でライトノベルを研究するためには必然的に、
日本語を学んだあとに「原書(引用者注:日本語の研究資料)を探す」
ことになる。
その代わり彼は、大衆の立場からライトノベルに注目しておく方法について述べている。
“学術的立場ではなくライトノベルを読む人で、ファンサイト ブログなどの
インターネットエスノグラフィ(引用者注:エスノグラフィは、当事者の行動環境に
観察者自身も混じりながら調査を行う研究手法の一 つ。ここではインターネットでの
交流に自らも混じりながら情報を探るという意味で使われているらしい)
の研究を進める方が、より現実的ではないか と思います。”

ジョン・テホ氏は、何よりもライトノベルであっても学術研究の一分野であるため、
自らがライトノベルに対して中立を維持することが最も重要と強調する。
“これは本当に強調したいことです。ライトノベルを研究する場合には、
ライトノベルを大好きになってはだめです。そして、正式に学界で論文 を提出しようと
思うならば、ラノベ以外のものにもっと関心を持たなければなりません。
自分がベースとしている学問の基礎や理論を勉強してから、ラ イトノベルに
近づいていくことをお勧めします。ただライトノベルだけを熱心に読み、その中で
分析するだけでは、良い結果が出ないと思います。
学術 研究は、ライトノベルに関心のない人を対象にしていることを、
いつも肝に銘じておかなくてはなりません。”

<韓国創作ライトノベルの研究課題>

韓国の創作ライトノベルの研究は、まだ日本でも触れられずに残っている。
ジョン・テホ氏は今後、この部分が韓国ライトノベル研究者がやり遂げなければ
ならない課題と考えている。“日本の学者たちも、韓国ではライトノベルが
創られているかどうかさえよく知らずにいて、知っている場合でも言語 にならず、
韓国まで行って調査する環境もない。海外のライトノベルは、日本の研究者には
死角ですね。個人的な計画では、次々回の研究会で、これに 関連した
発表をする予定です。”

そして、韓国創作ライトノベルの研究では、韓国にライトノベルがどのように
登場してきたのかについて、良く見なければならないと言う。”太陽の下で
完全に新しいものは何もないように、韓国の創作ライトノベルがいきなりとこかで
出来たわけではありません。日本では すでに、ライトノベル研究会などで
本も出版されるほど、ライトノベルの起源について文献的議論が出てきています。
韓国は日本のサブカルチャーとは違うから、その起源や環境などを日本とは別にして、
きちんと韓国のアニメ、ゲーム、ジャンル小説等、サブカルチャー産業全般に
関連した真剣な考察が先行しなければならないと思いま す。
特にライトノベルは日本から渡ってきたのですから、韓国のサブカルチャーと
日本の関係も究明しなければなりません。少なくともそのような作業 があって、
韓国ライトノベルの位置をきちんと把握する事が出来ると思います。”

この点で、韓国の学界がすでに偏見の罠に陥っているとするイチャンゴン氏の
指摘は示唆するところが大きい。“現在、国内の学界では、ラ イトノベルと言った
時点で先入観と誤った判断が行われている状況です。
つまりライトノベルを、文化の連続線上に存在する新しい小説スタイルの登場と
みなさ ず、一つのトレンドや流行程度に見る傾向がある。今学界では、
このライトノベルというものを定義づけようとしているが、今の状況では
定義されるこ ともなく、することもできないのです。
もっと固定された意識から抜け出し、広い視点から眺める必要があります。”

謝辞

本記事の転載にあたっては、ジョン・テホ(Taeho Jeon)さんに、
翻訳の校正をお願いいたしました。
また、NOX&LUX代表のMin Woo Hwang 氏には、
記事の転載をご快諾頂いた事を感謝致します。
(同氏は日本語を勉強中とのことで、こちらが英語で送ったメールに、
素晴らしい日本語で返信して下さいました!)

Acknowledgment

Thanks a lot for your kindness:
Translated text proofreading, Taeho John
and
Permit for quotation, Min Woo Hwang (Head of NOX&LUX).

【文責:山口】

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。