ライトノベル翻訳事情 アメリカ編(5)

アメリカでライトノベルの翻訳をやっている会社として最後に紹介するのがSeven Seas Entertainment社。マンガのインターネット配信の世界では、Gamanga.comというブランドで知られてもいます。扱っているマンガを見ていると、日本マンガと、アメリカの日本風マンガが半々くらいでしょうか。ライトノベルとしては『ブギー・ポップ』『死神のバラッド』『ヴァンプ!』『かのこん』『獣姫』『ストロベリーパニック』など。(他に菊池秀行『妖獣都市』なども。菊池秀行は他の出版社でも翻訳されているのですが、ライトノベルの範疇を超えているものとして扱わないことにします。)

この会社は、日本指向がよほど強いらしく表紙に至るまで日本オリジナルに忠実であろうとしています。『ブギーポップ/Boogiepop』などは日本語タイトルを表紙に使っているので、日米両版を並べても、どちらがどちらかさっぱり解りません。(左が英語翻訳版です。)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しにがみのバラッド/Ballad of a Shinigami』に至っては、版形まで日本の文庫本に揃えています。この記事では、ブログの仕様上の問題から書影の大きさを揃えて表示してきましたが、すべての翻訳版はペパーバックのサイズであり、日本の文庫本よりも大きいのですが、『しにがみのバラッド』は、日本の文庫本のサイズに揃えています。そして、表紙右下に”Lightnovel”と表示することで、そもそもは和製英語であった「ライトノベル」というジャンルをはっきりと看板に掲げています。

とはいえ、ライトノベル/Lightnovelという言葉自体がアメリカの読者層に浸透していないことを考慮したのでしょう、背表紙にはこんな一文が印刷されていました。

WHAT IS A LIGHT NOVEL?
Light novels are the hottest new thing from Japan – a close sibling to manga that’s the basis for many popular franchises! These bite-sized novels include both black-and-white and color illustrations, and bring fans the most authentic reading experience short of learning Japanese!

(拙訳)ライトノベルって何?
ライトノベルは日本発の新しいホットなコンテンツ。マンガに近く、多くのポップカルチャーのベースになっているんだ。この一口サイズの小説はカラーイラストも白黒の挿絵もついていて、日本語を知らなくてもファンに本物の読書体験をもたらしてくれるよ。

すでに書きましたが、ライトノベルは米国ではまだまだマイナーな出版物です。人気マンガやアニメの原作という観点から、マニア層の興味は引いていますが、今までは主としてコミック専門店などのマニア向けの販路で流通し、一般にはほとんど知られていないのではないでしょうか。2009年には『涼宮ハルヒの憂鬱/The Melancholy of Haruhi Suzumiya』が出ましたが、マンガ版とノベル版との混乱が起きたことが、販売サイトの読者コメントなどで確認出来ます。Amazonの関連するforumでは「Light Novelとは何か」という説明が投稿されていいましたから、日本マンガの読者層ですらその時点で、ライトノベルという小説のスタイルを理解している人間が少なかった事が窺えます。

(報告:太田)

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