ライトノベル翻訳事情アメリカ編(1)

以前、涼宮ハルヒの海外出版について調べましたが、そのついでにライトノベル全体がどの程度外国で翻訳されてきたのかも調べてみようと思いました。まずは、アメリカ編です。2011年7月の時点で、ライトノベルと呼ばれうる小説群の翻訳を手がけているのは、おおよそ5社で、いずれも日本のマンガを出版してきた出版社です。

出版点数でもっとも多いのはTokyopop社でした。この会社は意欲的に日本マンガ(と日本風マンガ)の普及に貢献したことで知られています。従来、日本のマンガを売るためには、コミック専門店しか販路が無かったところを一般書店でも売れるようにして、米国での日本マンガの認知度を上げたのです。残念なことに、提携先の書籍チェーン店Border社の危機に連動して経営が傾き、2008年に講談社から契約を打ち切られて稼ぎ頭の『フルーツ・バスケット』を失い、2011年4月に北米の出版事業から撤退しました。(ただし、ドイツ支社は活動継続中です。)

手がけたライトノベルは、『スレイヤーズ』、『キノの旅』、『クラップド・プリンセス』、『君にしか聞こえない』、『GOTH』、『トリニティ・ブラッド』、『フルメタルパニック!』、『十二国記』、『Missing』、『Gosick』など。この他に、『NHKにようこそ』(滝本竜彦)、『チェーンメール』(石崎洋司)、『西の善き魔女』(荻原規子)などの翻訳もありました。

一番古いと思われるのが『スレイヤーズ/Slayers』で2004年のことで、2008年までに8巻までが翻訳されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

版形が違う事(上記の写真は縮尺率が狂っていますが、英語版の方が大きいです)と、大胆すぎる意訳を除けばオリジナルにかなり忠実で、カラーイラストだとか挿し絵だとか著者あとがきだとかは日本語版と同じになっていました。背表紙には「MANGA NOVEL」とあって、これがレーベル名なのかもしれません。

ところが、この後の売り方がTokyopop社は安定しませんでした。「迷走」という印象さえ受けます。 たとえば2006年に出された『キノの旅/Kino No Tabi  Book one of THE BEAUTIFUL WORLD』は表紙を差し替え、カラーイラストページと著者あとがきを削除し、文中イラストもリアレンジして、マンガを連想させる要素をあえて縮退させています。裏表紙には「MANGA NOVEL」を改め 「POP FICTION」と銘打っています。2007年の『Missing』でも同様の処置がとられ(広告としてマンガ版が一部掲載されていましたが)、『トリニティ・ブラッド/Trinity Blood』(2007)もカラー口絵が省かれる等マンガ的要素を削っています。日本のオリジナルと同じ売り方をする必要がないと判断したのでしょうし、日本で成功したライトノベルという出版形態がアメリカでは中々理解されなかったということなのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もっとも 、やはりPOP FICTIONとして売った『フルメタル・パニック!/Full Metal Panic!」(2007〜2011)は表紙をマンガに近いものに合わせ、口絵イラストも白黒ながらオリジナルを転載しているのでケースバイケースの対応が行われたようです。これは『十二国記/The Twelve Kingdoms』(2007〜2010)でも同様でした。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回は、他の出版社についても紹介して行きたいと思います。

(報告:太田)

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