「ラノベ化」する哲学書-アラン『幸福論』

先日投稿したデカルト『方法序説』(角川ソフィア文庫)についての記事に続き、哲学書の「ラノベ化」に関する話題をもうひとつ紹介します。
『方法序説』は来月22日に角川ソフィア文庫から発売されますが、実は10月にも同じコンセプトの哲学書が同文庫から発売されていました。
『“文学少女”』シリーズ(ファミ通文庫)のイラストレーターとして知られる竹岡美穂氏が表紙を担当したアラン『幸福論』です。

角川ソフィア文庫HP:『幸福論』

なお、文庫の帯では『“文学少女”』シリーズの作品名と、イラストレーターによる描き下ろしカバーである点が強調されています。
作品の解説等は特になく「馴染みのある人には分かる」という仕様ゆえ、やはりライトノベル読者への訴求を意識的に行っていると思われます。
この調子だと、おそらく来月発売の『方法序説』も同じような帯が付くのではないかと。

「悪い天気には、いい顔をするものだ。(「幸福になる法」より)

『“文学少女”』シリーズ(ファミ通文庫)のイラストレーター竹岡美穂描き下ろしカバー

「われわれが自分を愛してくれる人たちのためになしうる最善のことは、やはり自分が幸福になることだ」。20世紀前半、最大の思想家にして高校の教師でも あったアランが、幸福についてときに力強く、ときには瑞々しく、やさしい言葉で綴った93のプロポ(哲学断章)。幸福とはただ待っていれば訪れるものでは なく、自らの意志と行動によってのみ達成されるとする主張に、未来を拓く幸せへのヒントがある。  解説・鎌田浩毅 」 (角川ソフィア文庫HPより引用)

そういえば…以前にも角川ソフィア文庫は『生徒会の一存』シリーズ(富士見ファンタジア文庫)とコラボして、日本の古典作品を宣伝する「春はあけぼの学ぶ生徒会フェア」を開催したことがありました。
今回の哲学書も含めて考えると、角川ソフィア文庫は(大々的な宣伝こそあまりありませんが)結構頻繁にラノベ的販売手法を適用して文庫作品を発売している印象を受けます。
前回の記事では「アニメ・マンガイラストを訴求力とするラノベ的販売手法」の「恒例化」についてふれましたが、今やラノベ市場の8割強を占める角川グループ内のレーベルがそれを進めていることを見るに、今後もこうした流れの一翼を担うのは角川なのだろうなぁ~と思ったり。
一方で集英社や講談社がどう動くのかも注目されます。

さて、角川ソフィア文庫の哲学書はここまで2カ月おきに発売されていますし、このペースだと今後も定期的に発売されるのかもしれませんね。
(そのあたりの出版情報をご存知の方がいましたらぜひ情報を)。
次はいったい何が選ばれるのか、ちょっと楽しみですね。

【文責:山中】

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2 Responses to 「ラノベ化」する哲学書-アラン『幸福論』

  1. nanaso より:

    ソフィア文庫の角川学芸出版は元スニーカー文庫の編集長で現富士見書房社長の方が社長をされているので、その辺のノウハウを入れているのではないかと。最近富士見書房と同じビルに入居しましたし。ドラゴンブック編集部が編集したソフィア文庫(教えてあげる織田信長)もあるそうです。

    • lnovelblog より:

      貴重な情報をありがとうございます。
      確かにラノベ編集経験者が社のトップとなると、その影響が販売戦略にも及んでいる可能性は考えられますね。
      今後もこうした動きが続いていくのか、注目していきたいと思います。

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